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塗装がしてある部分にインレイを施す時はかなりコッテリと塗装が厚いものでないかぎり必ず木地まで剥がす事になります。図は一般的なギターの塗装構造を表したものですが、おおまかにこのような3層(下地層・色層・上層)に分かれてます。インレイする時には塗装された状態から「貝を埋めるための"罫書き"」を塗装面に行い、ドレメルなどのルーターで掘り、接着剤やエポキシなどにより埋めます。
*図は、塗装厚など実際の縮尺ではありません。分かりやすいよう誇張してます。
インレイ用の貝の厚みは約1.3~1.6ミリ程度です。塗装の厚みも考慮して木材面から多少出るくらいにして埋めます(掘ります)。なぜ塗装を剥がしてからインレイしないのか?と思われる方もいらっしゃると思いますが、木地面に"罫書く"より塗装面に"罫書く"ほうが綺麗に「線」が書けます。また、掘る時にも塗装が木材を固定してくれてチップ(欠ける)しにくくなります。
埋めた後、貝の出っぱりを研磨する(木地面と面一になるよう)工程では約#80~#100番ほどの荒いペーパーから使います。前述で「かなりコッテリと塗装が厚いものでないかぎりは・・・・」は、この研磨段階でガシガシと荒いペーパーで表面を平らにするので塗膜、とくに色層まではすぐに剥げてしまうからです。
ちなみに○AMA○Aのアコギなどで多く見かける(他にも多くありますが・・・)薄貝を使用したロゴは下図のように塗装の中に貝が封じ込まれています。この場合は安易に塗装を剥がすとロゴが消えてしまうので注意が必要。螺鈿細工もこれと同じく薄貝を貼り塗装の中に封じ込めています。
ナチュラル(無着色)、うっすらとしたアンバー色などの場合は「貝の上層」に塗ってもほとんど変化ありません。が、しっかりとした「色」を付ける時には「貝の色」まで変わってしまうのでマスキングなどで貝の上には色が乗らないよう工夫したりしなければなりません。
今回のポールリードスミスに代表される塗装方法(着色方法)はいわゆる「木地着色」と呼ばれるものです。塗装構造は図のとおり。木地調整までおこなった段階で「染料」を直接木に染みこませる(塗る)方法です。そのため画像のとおり完全に木地まで剥がしても木目・導管に入り込んだ染料はいくら削ってもなかなか消えないのです。木地着色された塗装の「色変え」は(つぶし色にしないかぎりは)同じ色合いの「色」でないと不可能です。今回はブルー → パープルなのでこの程度のブルーが残っていてもほとんど影響しません。
上画像が木地着色を終えたところです。???と思われた方、インレイ・貝の部分には染料が付かないの?、、、そうです、そのまま塗れば付きます。貝のところはエアブラシなどで使われる透明なマスキングを貼りデザイン・インレイした形どおりにカットして染料が付着しないようカバーします。
ここまで手間をかけなくても基本的に「貝素材は色が染みこむ事はない」のでマスキングせず塗り、その後に綿棒にアルコールなどを染みこませてこすれば落ちます(木のインレイ部分は注意)。ただし同じ貝でもラミネイト貝や、貝表面にわずかなヒビ割れがあるとそこから色が染みこみ除去できません。アバロンなどは目立ちませんが、白蝶貝などは色が染みこむとかなり目立ちます。ケースバイケースで手法を使い分けるといいでしょう。。。。
木地着色にかぎらず通常の色を塗りたい場合でもこれと同じくマスキングしてから色を塗ります。
最後に・・・今回は指板わきギリギリまでパーフリング(アバロンライン)を入れたりと今まで行った事がなかった新しい事に挑戦する事ができました。またレスポールに比べ思っていたよりボディのアーチが非常にきつく研磨段階でかなりの時間と工夫をとりました。事前にある程度のリスクはオーナー様にお伝えしていましたが、今回の経験を通して非常に勉強になり、そして納期が多少延びてしまい申し訳ありませんでしたが、大阪府のI様ありがとうございましたm(_ _)m
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