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今回はたまにありがちな「間違った修理をされてしまった」楽器達シリーズ。

被害者はGibsonのAdvancedJumbo君。

ヒビ割れ部分は赤線を引いてあります。

少し気になったのはトラスロッド部分(上画像いちばん右)。通常のGibsonに使われているトラスロッドナット部分とは形状が違います。一瞬「あれ?もしかして両効きロッド??」と思いましたが、実際回してみるとそうでもなく普通のロッド(だったような・・・・1年半ほど前なので記憶が・・・)。まあ、あまり深く考えずに先に進みましょう。

まず、下記のようなトップ板割れ↓

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・↑↑内部を確認してみると丁寧にクリートパッチが接着されています・・・・・って、あれ?あれれ??「これ全然意味ないじゃん(笑)」あまりの見事な「ズレ」に思わず笑ってしまいました。

お次。テイルブロックを見てみるとなんだか怪しげな四角い物体が上下に・・・・

困惑。。。しばら~~く「これは何の意味があって接着したのだろう」と考えてみましたが、こういう推測がたちました。(下図)

 


ここ最近のMARTINやGibsonなどのテイルブロック(エンドブロック)は「少しでもトップ板の振動する面積」を広げようとする目的のため上の図のようになっている事があります。
おそらくこのNEWスタイルになっている状態を見て「ムム!これは接着剥がれか?」と勘違いしてこのような四角いブロックを補強材として接着してしまったのでしょう。

 


↑↑上下しっかりと接着されています(泣

最後はコレ↓↓

これは想像ですが、おそらく図のようなヒビ割れが出来てしまい、補強する目的でこのようなブロックを接着したのではないか?と推測します。単にブレイシングが剥がれたものを接着した後に、さらにこのようなブロックを被せたとも推測できますが・・・・

とまあ、いろいろ間違った修理、意味の無い修理を行われてしまったこのAdvancedJumbo君。


トップ板のヒビ割れは今回の他に以前に修理された痕跡もありました。上画像はその時に施されたクリートパッチですね。これら「クリートパッチと意味のないブロック」が同一時期に同じリペアマンによって修理されたものなのかは不明ですが、もう少しアコギの構造を勉強してほしいですね^^;


ところで、観てきましたよ・・・「アベンジャーズ」

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え~と、アイアンマンにハルク、マイティ・ソーで、キャプテン・アメリカ。、S.H.I.E.L.D.のスパイ ブラック・ウィドウ、弓の名人ホークアイ。全員をまとめるサミュエルLジャクソンと。

ひととおり、それぞれのヒーロー達の映画は観ており、キャプテン・アメリカなんて本編最後にアベンジャーズへの予告まで挿入しているし。なにも考えず「この手のCGありまくりドンチャカもの」を楽しむために映画館へ足を運びました。
予想どおりというか、まあ豪華豪華、観ていて本当に映像が楽しい!ガジェット好きな私としてはやはりアイアンマンのメタルスーツがお気に入り。

とくに感想は無く、ただただ楽しかった、とだけ。。。「ああ~スッキリ!映画を堪能した!」って感じですかね(笑)

 

 


では修正していきます。

ネックブロックに近い「意味無しクリートパッチ」は荒いペーパーで少しずつ少しずつ・・・削り取っていきます。


上右の画像のように、裏側から光りを当てると割れの形や大きさが良く分かります。マスキングテープを貼り余計な部分がキズつく事がないように。

そして・・・・・

←完成の画像 ←裏側

ここは「割れ幅」が広く、左右から圧着しても「割れ」が塞がらなかったので、割れの幅に合わせて新たなスプルース材を作り接着。非常に根気がいる作業でかなり手間がかかります。最終的に部分塗装をして仕上げます。クリートパッチも「正しい位置」に接着。

とまあ、こんな感じでその他の割れも接着し・・・・

割れを接着し終えたら、裏側にはクリートパッチを接着。以前にもお伝えしたかと思いますがクリートパッチの「木目方向」はトップ板の木目方向とは直角になるよう。同じ木目方向だとあまり意味がないので注意。

結局、テイルブロックに接着されてしまった「四角いブロック」はそのままにしてあります。熱などをくわえて無理して取り外すよりはこのままのほうが良いと判断。

その他の割れは下記のとおり。各割れを中心に部分塗装をしましたが、それだけだと塗装をしていない部分との光沢に差が出てしまいます。トップ面全体を水研ぎしてバフィングしてあります。ピックガードも貼り直しています。


はじめの画像と全く変わりませんが、いちおう完成の全体像。少しテカテカしましたか?

 

この仕事をしていると今回のように「なぜ?こうした??」といった完全に誤った修理方法をとっているケースをたまにみかけます。
同じ「結果」を目指して、そこへたどり着くまでの修理「方法・順序」はリペアマンにより多少違う事もありますが、全く意味のない修理をされているケースはさすがに「・・・・・」言葉が出なくなります。

医療の世界には「セカンドオピニオン」というものが存在します。楽器の修理にかぎりませんが、時には2~3人のリペアマンに意見を聞く事も大切です。それぞれ得意とする分野がある事も事実です。今はネット時代ですので情報収集も容易にできます。

ちなみに、大きな楽器店さんに持ち込むと、十中八九 そのギターを実際に修理・調整をする人間とは話しが出来ない事。楽器店さんには「軽度な調整、配線ぐらいなら店内でやるよ~」という所も数多くありますが、塗装がからんだり板割れやその他大がかりな修理に関してはほとんど外注になると思います。

お店さんが「どこへ」依頼するか?は、そのお店さんによって様々です。流れとしては
「店員に不具合箇所などを伝える」→「店員はそれを簡単にメモする」→「実際作業するリペアマンがそのメモを見る」→「大抵の場合、メモが簡単すぎてお客様がギターのどこを気にしているのか理解不十分」→「リペアマンは店員に、お客様にもっとよく聞いて、と伝える」→「ようやく気にしている部分などが分かってくる」・・・・・・・・・
これではお客様がどういう所を気にしているのかなんて、深く理解する事はできませんよね。

話しが少し逸れましたが、皆さんも愛機を修理やメンテに出される時には十分注意しましょう。

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