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さて、ようやくこのページで最後になるかと思います。前ページ(6ページ)ではポジマーク入れやブリッジ製作を載せたので5ページ目の内容からの続きですね。

ニュルニュルっと取れます

こんな感じでストリップを全部抜いたら貝埋め作業に・・・・

 

あらかじめ幅1.5mm・長さ20mmにカットされた貝を大和マークさんから仕入れてあるので、1本ずつ埋め込んでいきます。

  

 

因みに、貝はストレートのもの、アール(曲)がついているものがあります。施すギターボディ形によって使う割合は違ってきますが、くびれ部分や肩の部分などにアール付きのものをよく使います。

  
パーフリングやバインディングと同じように、最後の1ピースはピッタリと合うように隙間なく調整して埋めこみます。

 


 

←続いてトップ面・・・・

 

動画をご覧ください

>>貝の埋込<<

 

 

側面も・・・・側面はストレートの貝しか使いません。
  

  

動画をご覧ください

>>貝の埋込・側面<<

 

 


 

休憩

 

こういうチマチマした作業って好きです。インレイの貝カット作業でも一日中すわってカットしててもあまり苦にならない。

そこでふと思い出したんだが、私には9つ下の妹がいます。当時、私が中高生の頃、妹がやってた遊びがコレ。

リリアンって知ってます?

子供用の編み物みたいなもんです。
先の尖った棒でチマチマ編んでいくと下からどんどん編み上がったやつが出てくるんです。

妹はまだ5〜6才ですからなかなかうまく編み上げられない・・・・そこで私が「ちょっと貸して」と
チマチマ、チマチマ、チマチマ、チマチマ、、、、、、、、

気づくと50cmくらい編み上がっている。
妹>>「もう、お兄ちゃん早く返して!」

ビーズ、は知ってますよね?

これもまたしかり。

妹の持ち物だったのだがハマッてしまい綺麗なネックレスとかをいくつも作ってましたよ。
いま思えば性格なのか「不規則」なデザインにはしていなかった。真ん中にでかいビーズを1個配置したら左右ともキッチリ同じ個数で仕上げてたりしてました。

 

小さい頃からこういう作業が好きだったんですね。体育と図画工作とかはいつも「5」、国語・算数・理科・社会は「1」みたいな(笑)

 


 

バンザイ!

これであとは通常の塗装剥がし&再塗装工程です。ここまで長かった・・・・もう早く終わらせましょうね。だんだん文章を書くのが面倒になってきた。

貝の出っ張りを平坦にしてから塗装剥がしです。

→→

 

さ、ラッカーなのでお馴染みの剥離剤をと。。。。。。。

→→

塗布後20分ほどしたらスクレイパーで・・・・・・なんか硬いし表面しか溶けてないな〜・・・・・・・・・・え、マジ!!

塗装剥がし行程は以前の記事で紹介した動画をご覧ください↓
 

 

コリングスは高額なアコギの分類に入ります。作業前にはアセトンで塗料の種類を確かめ、ラッカーだと分かりました。当然「下地/サンディングシーラー」もラッカーだと思い込んでました。

と・こ・ろ・が・・・・

いざ削っていったらビックリ!上の↑画像のとおりトップコート/クリアのみ「ラッカー」で、なんと下地はポリ塗装でした。

やっぱり思い込みって危ない。今までの作業のなかで何ヶ所かこうして下地まで剥がした所はあるものの、完全にALLラッカー仕様だと思い込んでたので、普段なら気づいているはずの「ポリ塗装を剥がす時の特有の匂い」に全く気づかなかった・・・・。


左から、木地 〜 下地(ポリ) 〜 上地(ラッカー)

 

という事で「なんだよ、剥離剤で少しは楽できるかと思ったのに・・・」と、すこし凹みながらひたすらペーパーがけで剥がす・・・・・

→→

いや〜コリングスの塗装はALLラッカーではなかったんですね〜。でも作業して分かったんですが、非常に薄いサンディングシーラー層でした。ここまで薄く塗ってあるなら問題ないな、と言えるほど、さすがはコリングス!
よく白濁するP○Sとは大違いですね(笑)・・・・あ、某メーカーの事は大好きで非常にリスペクトしていますよ。

 

真っ新になりました。ペーパーの番手は(私の場合)#360まで行います。
この段階では無塗装なのでスプルース本来の色味ですね。塗装の工程でいわゆる「ナチュラル」と呼ばれるアンバー色を付けます。

 

ブリッジ部分のマスキングです。

ブリッジを仮固定し、ボールペンで実寸を書き、その実寸より少し小さめの範囲をカッターでカットして完了。

 

←専用の"持ち手"を作り、取り付けて準備完了!
サウンドホールから塗料が吹き込まないように新聞紙をしっかり詰めておきましょう。

 

  
塗装吹き中・・・・の画像を撮るためポージング。

吹き終わり、2週間ほど乾燥させ完了

オリジナルの塗装は下地ポリでした。オーナーさんと相談したのですが、このままオリジナルを尊重して下地ポリ/上地ラッカーでいくか。それともこの際だから下地&上地ともラッカーにするか・・・・・マーチンやGibsonなどは下地&上地ともラッカーの、いわゆるALLラッカー仕様です。

よく相談した結果、ALLラッカー仕様にする事となりました。

 


 

水研ぎ&バフィングも完了

  

マスキングテープを剥がします。そ〜〜っと、慎重にね。決してスプルース材にまでカッターの刃が食い込まないように。

  

 

ブリッジを接着する前にジョイントしてしまいます→
ネックを取り付けるとクランプで固定しやすくなるので。。。そうした理由から。

→→

ジョイントしたら指板面の最終調整・修正↑↑ ジョイント後は必ず狂いが生じているのでこの段階で指板修正を行わないとなりません。

 

エンドピンも製作します・・・なんてね、これはエボニーの既製品を仕入れました。アバロンドットだけ入れて完成。
  
運良くボディ側のエンドピン穴の大きさにもピッタリ合い微調整で済みました。

 

指板修正後、フレット打ち、擦り合わせ〜角丸め・落とし、ナットの取付。
  

最後にブリッジは接着しました。ブリッジサドルも製作・取付し、そしてもとのピックガードも貼り・・・・

  

 


 

完成!

それでは各部の画像をご覧ください

サウンドは勿論もとどおり「激鳴り」。豪華絢爛な仕様へと生まれ変わりました。ALLラッカーへ変更したので将来10〜20年後にはいい感じでラッカー特有の塗装クラックや風合いが出てくることでしょう。

 

最後にもとの状態を見返してみましょう↓

気づかれた方もいらっしゃると思いますが、もとのバインディングは縞模様入りのタイプです↑↑。本来は同じ縞模様入りを使うべきでもあったのですが、全く同じ素材(縞模様の具合が100%同じもの)がなかったので縞模様無しのバインディングとしました。

 


 

今回の「Collings A.GをD45装飾化」いかがでしたでしょうか。

そういえば最後にブリッジ接着作業をしている時に気づいたんですが、このコリングス、トップ材の厚みが「かなり薄い」ことが判明。修理では鏡を使ってアコギのボディ内部をよくチェックしますが、このコリングスの場合 室内の蛍光灯の光がうっすらと透けてボディ内部へ射し込んでくるんです。
以前、アーヴィン・ソモギ氏のアコギを詳しくチェックする機会があったんですが、それと同じくらい薄かったです(ソモギのギターはさらに薄く、複雑怪奇な3Dブレイシング構造でしたが)。一般的なアコギでは蛍光灯の光が射し込んで見える事はほとんどありません。

いやはや面白い作業でした。ところで・・・

ここまで大がかりな作業をしてはじめて「完璧」な仕上がりが可能です。年に何度か今回のような装飾のお問い合わせをいただきますが、皆さん比較的簡単にできると思ってらっしゃるようですが、とんでもなく大変な作業だという事がお分かりになったと思います。マーチンやGibsonなどダヴテイルジョイントだと接着されてますからさらに大変です。

気になるお値段ですが、程度の良い中古 軽自動車が余裕で購入できる金額、と申しておきましょうか。。。。

ご自身が所有する「一生涯の愛機」をお持ちの方、それなりの金額を出しても、それでもやりたい!という方がいらっしゃいましたらいつでもご相談にのります。

 

おつかれさまでした!

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