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今回はピックアップ交換について書きます。
長年この仕事をしていてとにかく多いのが「ピックアップの位相」問題。ユーザーさん自身や、お店でP.U交換してもらったというケースでさえ、この「位相」が誤って搭載・交換されている事が多々あります。

  

1本のギター(ベース)に「複数のP.U(2個以上の)」を載せてある場合、それぞれのP.U位相は「正」か「逆」のどちらかに統一しなければなりません。どちらが良い・悪いというのはない。

という事で、自分が所有しているギター・ベースの、ピックアップ位相の調べ方。ダンカンやディマジオなどへ交換したいな〜と思って、購入したピックアップの位相の調べ方、位相の変え方、などを書きます。。。。。

*ここではリヤのP.Uだけ交換するという事で話しを進めます。ようは1本のギターに複数個(フロント,センター,リヤ等)のP.Uが搭載されている場合、そのうちの1個だけを交換するといった時に位相が重要になります。コイルタップ仕様などではなく、ごく単純なケースとして話しをします。2ハムでトグルSW ,1Vo,1Tone仕様などのギターがそれに大抵当てはまります。
1本のギターに載っているP.U"全てを"同じメーカーのP.Uに交換するのなら、ある意味位相は気にしなくても説明書どおりに結線すれば位相は揃うはずなので、失敗する可能性は低い。

 

>>>事前準備<<<

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P.U交換を自分でやろうと思うなら必ずアナログ式テスターを買ってください。
ネットで¥1200〜¥1500程度で買えます。

 

このページではテスターを使いますが、テスターのモードは「直流抵抗値」を計測できるポジションにしてください。
そんなの分からね〜よ、っていう人はテスターから出ているのプローブ(私のは先端にクリップを付けている)を接触・ショートさせて、針が動くポジションにして下さい。もし針が右側へ振れすぎてしまうなら「0ΩADJ」というダイヤルがあるので、針の位置を適当に「0」付近へ合わせてください。適当でいいんです適当で(笑)ようはポールピースを叩いた時の針の振れ方を知りたいだけですから。

(修理屋を生業とするプロなら適当はダメよ)

*専門的な話し。POT類の抵抗値を調べる時は「×100k」レンジにしたほうが読み取りやすいのですが、P.Uコイルを調べる時は「×1k」レンジにしないとなりません。わざわざアジャスタで0Ωに合わせるのも面倒なので私は常に「×1k」位置です。

 


 

はじめに・・・
不思議に思うのは、雑誌やP.U本などで「素人でも簡単にできるP.U交換!」なんてのをよく見かけるが、位相の事について触れている記事が少ない、というよりほとんど無い。書いてあっても「P.Uに同梱されている説明書どおりに結線・配線すれば正位相となります」とか「位相には注意しましょう」とかだけ。

P.U交換で一番大切で何はともあれ必ず「いの一番」に行うべき事は位相チェックなのに

 

まあ確かに雑誌など限られたスペースやページ数で、位相の調べ方などを丁寧に説明しようと思っても無理があるのだろう。というより位相のチェック方法は文章にする事が非常に困難。動画で説明したほうが早い・・・
あとはGibsonやダンカン、ディマジオなどが基本的に「正位相」だからかな。。。。それに「位相」の事を理解しようと思うと「素人でも簡単に・・・」なんてならないからだろう(笑)

とにもかくにも、P.U交換を自分でやりたい!!と思った方は、まず自分の楽器に搭載されているP.Uが「正位相」なのか「逆位相」なのかを調べる必要があります。


必要なものは上記↑「アナログ式のテスター」と「ギターケーブル」と磁石にくっつく何か(ドライバーなど)
アナログテスターをネット検索したら安い物だと¥1200〜¥1500程度から売られてます。安物でも可。

 

まずは動画をどうぞ「自分の楽器の位相をチェックする方法」です。


*この方法はパッシブタイプ(電池を使わない)のギター のみです。
アクティブ(電池を使う)のギターでこの方法は行わないでください。

 

さて、動画ではこのギターは「逆位相」という事が判明しました。という事は交換するP.Uも(今から取付ようとしているP.Uも)「逆位相」でなければなりません。

ポールピースにドライバなどをくっつけた時に針が右へ振れれば「正位相」、くっつけた時に針が左へ振れれば「逆位相」です。
(ポールピースからドライバなどを離す時に針が左へ振れれば「正位相」、離す時に針が右へ振れれば「逆位相」です)

 


 

さあ、自分のギターが「正位相」か「逆位相」か分かりましたね? 上で↑↑チェックしたギターは「逆位相」でした。という事は例えばGibsonの「57Classic」とか、ダンカンでも「SH-1n/SH-1b」59モデルとかは位相を変える事が出来ない「1芯シールド線(単芯シールド線)」なので購入の選択肢から外れる事になります。(↑いずれも正位相)
←こういうやつね
*ただしSH-1は「SH-1n/b 4con」という4芯モデルがあるのでそれを購入すれば大丈夫。また、交換しないP.U(フロントやセンターなど)が位相を変える事ができるタイプならば、上記モデルも購入/選択可能となる。

という事で(とくに自分のギターが逆位相だった場合は)購入するピックアップは位相を自由に変えられる「4芯タイプ」の物を選びましょう。

 

 

では次に購入した(またはすでに購入してしまった、かな)P.Uの位相を調べましょう。因みにダンカンやディマジオなどは「説明書」どおりに結線すれば「正」位相になります。下図のとおり・・・


アース/マイナスとはポットの背中などへハンダ付けしろ、という事です。

 

↓これが位相の時の針の動き↓              ↓これが位相の時の針の動き
  

*上の画像はともにメーカー指定の配線・結線方法にして、テスターの赤(+)、黒(-)を、それぞれのプラス/マイナスとしている線へ繋いだ時の動作です。テスターの赤(+)、黒(-)を逆に繋いでしまうと逆の動作をしてしまうので要注意!

針の動きに違いがあるのが分かりますか?
(ポールピースにドライバなどをくっつけた時に針が右へ振れれば「正位相」、くっつけた時に針が左へ振れれば「逆位相」


では仮に、今回交換したいピックアップがダンカンかディマジオのどちらかとしましょう。困りましたね・・・・両者とも説明書どおりに配線すると「正位相」になってしまいます。
*もし自分のギターが正位相ならなんの問題もなく説明書どおりに配線すればOKです

 

そ  こ  で

 

こういう場合、選択肢は2つです。ギターに搭載されている残りのP.U(センターやフロント等)の位相を変えてやるか、リヤへ搭載するP.Uの位相を変えてやるか、のどちらかになります。
後者の方法をチョイスします。なぜなら「4芯シールド線」↓であれば位相を変えるのはいとも簡単にできるからです。


方法は簡単、説明書どおりに結線したら、上図↑のようにプラス/マイナスを逆に配線すればいいだけ。

このようにすればダンカン&ディマジオも「逆位相」になるので、あとは適宜スイッチやポット類へハンダ付け・配線、搭載するだけです。
もし購入したP.Uが「単芯シールド線(1芯シールド線)」だった場合、簡単には位相を変えられないので、プロに相談しましょう。

 


 

いちおう思いついた(実際に存在する)ケースをひととおり図にしてみた。
あえて色分けはしていません、色はメーカー/ブランドによって様々あり、どの色が何とは統一されていませんから。また、あくまで便宜上プラスやマイナスと表記しています。位相変更「可能or不可」と書いてますが、配線の"末端"で可能か否かという話しであり、これも変更しようと思えばP.U本体側の結線をいじれば位相の変更はできます。


*裸線/アミ線はP.U本体の金属製プレートに繋がっています。



↑↓2芯シールド線の場合 ↓↑二通りの可能性があります。P.Uをよく理解していればテスターで判別可能

参考までにシングルP.Uの場合↓

パッと思いついただけでもこれだけ種類があるので、やはりピックアップ交換をちゃんと行おうと思ったら、基本的なこの仕組みを理解していないとダメです。とにかく一度理解できれば「あ!な〜んだ、簡単な事じゃな〜い」といった事なので、さじを投げずに頑張って理解しようと努力してください。

 

 

シールド線ってなんのこっちゃ?という方は、こちらをご参照ください


文字どおりシールド線とは外部からのノイズを「裸線/アミ線」が、ガードしている配線材の事を指します。4芯とか2芯とか呼ばれるのは、中に「何本」の線が入っているか、という事。単芯線とはノイズをガード(守る)するためのアミ線などがない、単なる1本の配線材の事。
(因みに「単芯シールド線」と「1芯シールド線」は同じ意味です)

で、非常に重要な事がひとつ「裸線/アミ線」必ずアース(マイナス)にハンダ付けする事。
もしアース/マイナスに結線されていなかった場合、本来の役目とは逆にノイズを集めるアンテナの役目になってしまいます。
ノイズから芯線を守る正義の味方 が ノイズを集める悪の帝王 になってしまうのです。。。

 

基本的にP.Uという物はプラスとマイナスを逆に配線すれば位相が変わります(もしくは磁石のS極/N極を反対にしても)。ところが物によって上図で説明したとおり「 裸線/アミ線」がP.Uコイルの「ど・れ・か」と一緒になっている事があります。そういったケースだと単純にプラス/マイナスを逆に配線してしまうとノイズがかなり大きくなるためダメですよ、という事。ジー・チリチリといったノイズ音は大きくなるが音は普通に出てしまうので誤った配線のまま使用しているケースもたまに見かける。

 


 

 

疲れちゃいましたよね、座学ですから。

 

休憩

 

今年は春が来るのが早かったです。3月6日頃の時点で美ヶ原の雪はご覧のとおり・・・・

  

毎年スノーカイトで美ヶ原の雪量は見ているが、3月の初めでこんな状態は見たことない。いったんここまで溶けてしまうと、再び雪が積もってもダメらしい。とは言いつつ、今シーズンはヒッジョ〜に珍しく嫁ともに二人ともスノー遊びにはほとんど行っていない(笑)

先日ゲレンデスキーに行った時に撮った1枚↓雪の上にポツンと在る木材、を狙い撮影してみたが、なかなか難しい。置いたとたんサクッと雪に沈んじゃうだなこれが。

おかげさまで昨年10月からスタートさせたStabilizedWoodの販売もようやく軌道に乗ってきました。小物類・アクセサリーなどを趣味で作る方など問い合せも多く寄せられています。

今年もそろそろ山登りシーズンの到来で、どこへ行こうかウキウキしています。
山へ行くとやっぱりロケーションが最高なのでスタビウッド君も連れていき撮ってます。

 


 

最後に、どこのメーカーのピックアップなのか全く分からない、しかもP.Uから出ている配線が「4芯シールド線」という場合・・・。いったいどうすれば個々の線が何なのかを判別できるのか?動画をご覧ください。


*本当にメーカー不明のP.Uですと、逆位相が"そのメーカー" のそもそものスタンダード/正常かもしれません。
ですので、動画の方法では「逆」が正解か「正」が正解かまでは分かりません(どのような方法でも分かりません)。動画で「正位相」としているのは、一般的に「正位相」としているメーカー/ブランドが比較的多いからです。

 

おつかれさまでした。

今回はピックアップ交換について記事を書きましたが、ギターによってはコイルタップ仕様だったり、並列・直列配線、など様々なケースがあるので、正直言えばある程度の「電気の知識、P.Uや配線の知識」がないと、自分で交換、は止めておいた方が無難です。電気工作など趣味でハンダごてをよく使う人とかは比較的簡単に、かつしっかりとP.U交換できそうですね。

冒頭でも書いたように、自分でP.U交換をしたいという場合は、最低限まず「位相のチェックだけは必ずしましょう」「たかだか1200円ほどの出費で済むのでアナログ式テスターを買いましょう」と、声を大にして言いたい。

余談ですが、巷では、わざわざテスターで確かめなくてもフェイズサウンド(フロント&リヤのミックス時に双方の位相が違う時)の時はアンプからのサウンドですぐ分かるよ、なんて言う方もいらっしゃいます。素人、趣味レベルで交換しているのならまあ問題ありません。間違っていたら位相を逆にすればいいのだから。でも、仮にもお客様からお金をいただいてプロとしてやっているのなら当然アウトですよ。
*アンプからのサウンドで分かる・・・・て事は、作業完成後に弾いてみて初めて判明するという事ですし、もしそれで間違いに気づけば作業のやり直しですからね。

ピックアップの交換方法や配線方法などはWEBで検索すれば数多くヒットします。数あるサイトの一つとして、このページが少しでも役に立てば幸いです。

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