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ネックを外そう!

サクッと、クルクルっとボルトを緩めてネックを外します。

  

 

ご覧のようにテイラーのネックジョイント部分はこのような構造になっています。このようなシムが何枚も用意してあり、刻印されている数字は上下での厚み差の有無や、厚みの区別ナンバーとしてふられているようです。

  

 


 

ところで、この記事を書いている時にちょっと気になったのでネットで「テイラー ネックジョイント角度」などで検索してみたら面白い記事を見つけたのでご紹介します。

http://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/2012taylor_factory-tour_report/

上記URLはイケベ楽器さんのサイトですが、2012年にテイラーのファクトリーツアーをした時の記事だそうです。文面をそのまま転載するにはイケベさんの許可が必要ですので、ここでは私がこの記事を読んだ事を思い出しながら少し説明します。


とくに観てほしい、読んでほしい部分は上記URLページのかなり下のほう「革新的な構造、NTネック」というところだ。シムは20〜-20まであるらしく、ボディとネックを合体させる時にシムを入れ、適正なネックアングルをだしてセットされる。この記事を読むといかにこのテイラーのネックジョイントシステムが合理的で素晴らしいかが良く分かる。
前ページで書いたわずかな隙間を「木工パテ」で埋めてある、というのも記述されていました。

 

できればこの「シム」を販売してくれると非常に助かるのだが、そこはやはり無理らしい・・・。でも木材なので入手できたとしても保管しているうちに反りなどが出て使い物にならなくなる可能性はあるな・・・テイラーのネックアングル調整なんて滅多に行う事はないですから。
あと興味深かったのが「塗装」について。テイラーが紫外線硬化の塗料を使用している事は前々から知っていたが、驚愕したのは塗料を吹き付ける回数だ。なんと2回で済むらしい・・・・!!
様々なメーカーで採用されている静電塗装で行っているようですが、それにしても塗装の吹きつけ回数が2回というのは(我々のような個人工房にとっての常識からは)にわかには信じられない。

 


 

上でご紹介したページは興味があればぜひ観ていただきたい。ためになる情報満載です。

 

さあ元に戻ろう、どこまでだったか・・・・
そうです、ジョイントを外したところでした。下の画像は↓↓新しいブリッジを接着したあと(ネックを外す前に)弦を張りネック調整(反り)なども行い、赤矢印の「余裕」をチェックしている場面。

  

ご覧のとおり↑↑ここの寸法は約1.0mmとかなりギリギリだ。私はここの寸法の事を「ブリッジ上面からサドルが出ている寸法」などと書いたりしている。なにか言い"略し方"はないものだろうか・・・・


ここの寸法・余裕は(私の基準・経験上では)最低でも約1.5〜2.0mm弱は残しておきたいと思っている(リペアマンにより様々です)。今回のように1.0mmとかになると、モノによっては弾いた時に「サドルの、弦が乗る頂点部分で」弦がブレてしまい、シタールとまでは言わないが音にも影響する。
*因みにブリッジピン穴(正確には弦が出てくる位置)とサドルの距離が近ければ近いほど、この寸法・余裕が無くても(低くても)不具合が出る事は少ない。下図を見て考察してほしい。


図は極端に描いています

 

 

さて、この状態で↓↓弦高は約1.1mmです。アコギにしては低すぎますね。

こうして数値を測ったところで、ブリッジサドルの余裕が最低でも約2.5〜3.0mm以上ある状態で、弦高が約1.8〜2.4mmなどアコギの標準的な高さに設定したい。

 

←という事でこのシムを作り直します。

 

テイラーのシムは「サペリ」という材で作られているらしい。サペリを検索してみると別名「サペリマホガニー」とも呼ばれるらしく見た目はマホガニーです。

最初はおなじくマホガニー材でこのシムを作ろうと思ったが、考えた末ローズウッドにした。ローズのほうがマホガニーより硬いのでこれから行う微妙な作業においてコンマ何ミリという削り&調整をしやすいというのも理由の一つだ。

  
方法は、まず元々のシムの厚みにほど近いローズ材を作り形をカット。うまくジョイントにはまるか確認する。次に↑↑このようなブロックにシムを貼り、ベルトサンダーを使い、端と端(上下)で厚みが違うシムを製作する。
* ブロックは3面が正確に直角が出ている。両面テープで固定するが、たかが両面テープとはいえテープ自体に約0.1mmは厚みがあるのでこれも考慮して、貼り方には気をつけましょう。

 

 

←最終的に2.5mmと2.1mmという厚みになった。

この2.5mmという厚みはオリジナルのシムと同じ厚みです。ここがオリジナルと違ってしまうと(薄かったり、厚かったり)問題ありなので注意しましょう。

 

 

完成したシムがコチラ↓

木目の方向はオリジナルシムとは違うようにした。

 


 

休憩

前ページでブリッジを接着したが、接着剤は皆さんご存じのタイトボンド。
時間が経つと品質が劣化するので(と思うので)私の場合8オンス(約237mL)入りのタイプを購入している。先日そろそろ使い切りそうだったのでAmazonから購入しようと思いチェックしたら「ラベルのデザイン」が新しくなっていた。

 

旧ラベルデザインを見ながら「これと同じもの、これと同じもの・・・・」と探していたらなかなか見つからず
デザインが変わった事などつゆ知らず、接着剤1個買うのにけっこうな時間がかかってしまった(笑)

 

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もう一つネタ・・・

数年前にお店さんから「チェックしてみてくれ」といわれたチューンのベース。
裏のコンパネを開けてみてビックリ仰天・・・・

  

未だかつてここまでになった代物は見た事がない。エポキシ系の樹脂は(かなり)温めると確かに柔らかくはなるが、このように「溶ける」という事はない(と思う。試した事がないので知らない)。楽器が普段置かれる状況で一番暑くなる場所といったら真夏の車中だろうか(やってはいけないが)。樹脂固めの段階で配合を間違えるとこのようになるのだろうか??

でも、普段見えないブラックボックス状態のプリアンプ中身が垣間見えて面白かったな。

 


 

よし!ラストスパートです。

新しく作ったシム、じつは一度失敗して作り直しています(2度目で成功、完成した)。失敗というのは厚みの「差」を0.2〜0.3mmほど大きくしすぎてしまった、削りすぎてしまったためです。
このようなシムを作る時は、これくらいかな?といった目安を削れたら、都度ネックを取付、弦を張ってみて弦高をチェックし、ダメだったらまた削るの繰り返し。 簡単に思えるがじつは時間がかかる作業です。

  

弦まで張らなくても慣れてくれば、ステンレスの定規などを使ってある程度の目測は出来ます。ただし、アコギは張力をかけるとトップも引っ張られて多少盛り上がりますし、そのぶんを考慮して数値を推測しなければなりません。この辺りは経験がものを言います・・・

 

←因みに、その時にセットするサドルは仮物のサドルで「ブリッジ上面からサドルが出ている寸法」もしっかり3〜4mmほどあるようにします。この時はたまたまオリジナルのサドルをセットできたので底上げして使用している。

 

極端に言えば、この段階で使用するサドルはサドルでなくてもよい。「はい??何を言ってるの?」と思いました?

←こういう事。

 

 

シムによってどのようにネックが変化するかというと↓↓ご覧のとおり。ごくわずかですが、ネックがこのように傾斜するんですね。

結果として(ネック角度を変える事で↑)サドル高さが同じでも弦高が変わってくるという事です。

 

最終的にヒール側(側面)のシムが完成したら、次は指板下のシムの調整です。

ネックが傾斜したという事は指板エンドが少し浮く事になります→
指板エンドが浮いたという事はそのぶん底に空間ができた、という事になります。

 

下図のように通常のダヴテイルでしたらジョイント部以降、↓↓指板がボディに乗っかる範囲は比較的曲がりやすい構造です。

 

ところがTaylorのネック構造はこのような感じなので↓↓指板はほとんど曲がらないのです。(しならない)

 

←このような構造からこのシムも少し厚いものにしないとなりません。が、この部分に関しては(指板留めの)ボルトを締めた時にガタつきなくしっかりとこのシムが動かないようにできればいいので、約0.3mmのプラスチック板をはさみ、OKとしました。

 

最後に各ボルト(計3つ)をしっかりと締めてから、ラベルを元通り貼り終了。

  
ラベルを貼る際に使用したのは↑スプレー朔のようなもの。

 


 

長かった作業が終わりました。あとは新しいサドルを作って取り付ければ完了です。

今回のケースではオリジナルのサドルが↑↑このようにセットできたので、底にプラ板を2枚ほど敷いて底上げした状態で弦を張り
チューニングし、ネック調整し、弦高をチェック。 こんな感じ↓↓

  

 

弦高はバッチリでしたので、オリジナルサドルの寸法+約2.0mmで新サドルを製作。素材はオリジナルと同じくTUSQ。

  

弦高は1弦側約1.7mm、6弦側約2.0mmに設定しました。

 

完成!

 

最後に・・・はじめの状態と完成後ではヒール部分が少し深く収まっている事が分かると思います。数値にしてわずか0.4mmですが、たった0.4mmでさえ、弦高やサドルの高さに影響が出てくる事がお分かりいただけたかと思います。

  

 


 

2016年5月4日
「スターウォーズ フォースの覚醒」DVD&Blu-ray発売!

 

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いよいよSW Ep7が自宅にやってきます!私は早々にAmazonで予約済。

 

本編ディスクは勿論ですが、製作の舞台裏などボーナスディスクが非常に楽しみです。先日NHKで放映されたスターウォーズEp7の製作舞台裏が放映されましたよね。約1時間の番組でしたがCGの製作現場など「公開前によく撮影許可おりたな〜」と思うほど濃い内容でした。

 

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↑CDやアート本なども発売されていますね↑

さ、5月4日は連休のど真ん中。SWの世界に思う存分ひたります!

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