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前ページで「ヴァンヘイレン・白黒フランケン」の塗装をご紹介しましたが、その数ヶ月後に同じお客様から今度は「バンブルビー」カラーにしてほしいと依頼が・・・。
ここで確信しました。この方はそうとうヴァンヘイレンが好きなんだな、と。K様ありがとうございますm(_ _)m

さて、元のギターは下記のとおり。

 

前回のボディと比べたら綺麗で、コンター部分はご覧のように加工されています(白黒も同じでした)。ネジ穴など数ヶ所の穴埋めとボディ表面の凸凹を入念にペーパーで整え、下地をしっかり整えます。

カラーの参考にするのはコレ↓↓ バンブルビー!
 

んなわけなく・・・・

下の画像は
下地整え→Uコートシーラー→サンディングシーラー吹き→ペーパーがけ→黄色吹き、まで行った段階です(全てポリ塗装)

オーナーさんから雑誌をお借りしていたのでその画像をもとにまずは原寸大まで拡大コピー。あとはオリジナルの模様と睨めっこしながらテーピング(マスキング)していきます。白黒フランケンの時も同じ方法でした。

 

前回、白・黒のマスキングをした時に気づいたのですが、ヴァンヘイレン本人はこのマスキング作業(テーピング作業)の時におそらく「ビニールテープ」を使っている事。というのも、ボディ表のテーピングを裏側へまわす時に「かなり斜めにしないと・曲げながら貼らないと」オリジナルと同じようにならないのです。

通常のマスキングテープだと伸び・縮みしないので、そのまま貼っていくとかなりズレていきます。といってもビニールテープでマスキングするのは良くありませんし、伸び・縮みするタイプのマスキングテープを買うのもばからしい。側面などはつじつまが合うようにカッターでカットしながら整えました。

 


 

マスキングを貼り終えたら黒色吹きです。

ここで1点注意しなければならないのは、このような模様有り・マスキングしてある物にベタ塗りする時は「薄めに・何回も繰り返し」で塗っていく事です。スプレーガンの塗料噴出量の調整をしぼり、決して一度に厚塗り・テカらないように、一見するとマットフィニッシュか??(ツヤ消し塗装のこと)というくらいの吹きつけ量で何回も塗り重ねていきます。

一度に厚く塗るとマスキングが非常に剥がしにくくなります(特にポリ塗装の場合)。ラッカー塗装の場合はポリに比べ薄めになるので厚塗りしても比較的マスキングテープは剥がしやすい。
どちらにせよ、「渋め・薄め」で何回も塗り重ねたほうが(一度に厚塗りより)下地が消えやすい(下地がすぐにつぶせる)。

←真っ黒に塗りつぶされた状態

黒を塗り終えたら(私の場合)10~15分ほどでマスキングテープ剥がしの作業に入ります。

 

塗料が完全に乾いてしまうとマスキングテープを剥がす時にバリバリ・パリパリというふうに境目が綺麗になりません。ですからマスキングテープ剥がしは「生乾き」で行います。

この作業も慎重に。「わ~い、あとは剥がすだけだ~」というノリで一気に剥がそうとしてはダメですよ。何も考えずに勢いよく「ピーッ」と剥がすと稀にマスキングしていない所の塗料まで持っていかれ剥がれる事があります。慎重に慎重にゆっくり剥がしていきます。

 
↑すべてのマスキングテープを剥がし終えたところ↑

トップコートを塗り重ね、水研ぎ・バフィング・・・・パーツ組み込み、そして完成!

 


 

休憩・・・

2013年、皆さん今年はどんな想い出ができましたか?
私はあいかわらず登山熱が続いてまして10月は鳳凰三山に行きました。


一緒に行った仲間の一人とオベリスク先端までギターかついで登り、てっぺんで合唱!
右の友人はいつも必ずギターかトランペットを山行に持っていく。ただでさえザックの重量が12~13kgもあるのにこんな嵩張る物を背負っていくなんて・・・すごい。

今回の鳳凰は初の小屋泊だったのでザックが軽くて軽快だった。


日の出とともに雲からヒョッコリ顔を出す富士山。

思い返せば、7月に北岳、8月に槍ヶ岳と乗鞍岳、そしてこの鳳凰三山と。
どの山も壮観な景色で楽しいですけど、鳳凰三山は稜線に出てからの小道、背の低い木々、白い砂浜のような道、そして2日間ともバッチリの快晴!まるで南国に来たかのような最高の気分を体験させてくれました。

 


 

最後はジェームス・タイラーのギター。これはバンブルビーや白黒のような特徴のある塗り変えではありませんが、なんと白黒&バンブルビーカラーの依頼者であるK様のお兄様の依頼。せっかくなのでご兄弟そろってご紹介。

まずはもとの状態から。

 

タイラーの初期の物のようです。木地着色のようにも見えますが、かなり色が濃く、せっかくの杢目がよく見えません。

 

 

さっそく塗装を剥がします。

 

てっきり木地着色だと思っていたのが剥いでみると木地着色ではない!通常の塗装でした。
通常の「塗装(色塗り方法)」と「木地着色」の違いは下図参照↓↓

  

トップ面を剥いでいて少し気になったのが「普通のメイプルより色が茶色い、濃い」という事。

  

この段階ではもしかしてハワイアンコア材?と一瞬疑いました。

 

 

すべて剥がし、綺麗にペーパーがけ・木地調整まで行うと本来の素顔が見えてきました。
 

もしかしたら杢目を強調すべく薄めのブラウンかアンバーで木地着色されていたのかもしれませんね・・・。

 

いちばん興味深かったのは右上の画像。トップ材の貼り合わせの部分ですが、左右でズレているのです。↑↑↑ ???

通常、ボディのバック材とトップ材はセンター接ぎを行った後に裏表を平面出しして、トップとバックを接着するんですが・・・・この画像を見るかぎり、まずボディ左右で別々にトップ&バック材を接着、最後にセンターで合わせた(接着した)としか考えられない。

 

 

↑↑上の画像は濡れたタオルでメイプル表面を湿らせてみたところ。      ↑コチラはストックのメイプル端材と比較

やはり若干濃いめ、赤っぽい色合いです。
リヤP.Uキャビティは彫刻刀などで荒っぽく掘られた痕があり、ボディ裏のスプリングキャビティに貫通していたので木工パテで埋めました。以前から何度も言ってますが木工パテやアロンは適材適所といっしょ。

 


 

ご本人の希望の色合いは「南国の海の色。緑青っぽい色から深く濃い青へ」というご注文。ネットにころがっている画像を拾い、イメージに近い画像を用意し、実際に工房へお越し頂き1~2時間かけてじっくりとご相談しました。

 

まずは第一段階として「緑青っぽい色」、海でいうと水深が浅い部分、を再現すべく木地着色で↑↑この色を塗りました。次にサンディングシーラーを塗り重ねていきます。順番が前後しますが、トップ材との境目をマスキングして同じ色でバック面全体も塗ります。

 

以下はサンディングシーラーを吹き終えた段階で「第二段階」の色「濃い青」外洋の水深が深いところをイメージした色を「試し塗り」している画像。

 

こまかい説明は省きますが、ポリ塗装の場合1回程度なら「色層」での試し塗りが可能です。

 

 

完成した画像がコレ↓

狙ったとおりの色合い。ダイビングをする人はよく分かると思いますが、緑色から濃いグランブルーへ!
こうして眺めていると杢目がサンゴのように見えてきます。もとの赤っぽい色合いの影響も出てますね。

 

じつはこのギター、まだ完成までいたってません。もともとパッシブP.Uに直列・並列などのミニSWなどが付き、回路の最後にブースターがかましてある仕様でした。ご本人の希望によりこのブースターを交換したいという事で、現在 搭載予定であるエフェクターの納品待ちという状況です。

今回のペイント・カラー、お楽しみいただけましたか? それでは良いお年を!

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