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このページで最後にしましょう。いよいよここからが本番といってもいいかも。
↓ひととおり接着剤の残りカスも除去しました。ヒールキャップも忘れずに接着済み↓
まず現状で↓のように仮組みして弦高をチェックしてみます。
その際に注意しなければいけないのは矢印部分↑、ヒールがちゃんとボディ側面に密着しているか。
そのうえで画像のように直線が出た木材などをあてがい、12F上で弦高をチェックします。
ここで注意しなければいけないのは「ここでチェックした数値」を鵜呑みにしてはいけません。なぜなら弦を張るとトップ板などが膨らみそのぶん弦高は高くなるからです。
始めに(お預かりしてチェックする段階で)弦が張られている状態と、完全に緩めた状態で(この作業を行い)12F上でどのくらいの「差」が出るか確かめておきます(ネックは真っ直ぐになっている事が前提)。このギターの場合は約1.0mmの差がありました。
つまり上記の事を考慮すると「A画像」でスケールが示す数値は、実際のチューニングされた弦高だと「プラス1.0mm」になります。当然ながらこのチェック(角度の設定作業)をする際にはブリッジサドル側も十分余裕がある(ブリッジ上面から3.0〜4.0mmほどサドルが出ている)状態でなければいけません。
よく見かける光景→
前述した事を考慮したうえでこのように荒めのペーパーでヒール部を削っていき角度調整します。左右おなじ回数だけ削り、a部分は削れないので都度ネックを取り外したあとに削り調整。最終的に目的とする弦高になったところでこの作業は終了です。
さて、ネックの角度は設定できましたが、このままではまだジョイント部分はガバガバのままです。
そこで試しに「紙切れw」ならぬサンドペーパーを両側に挟んでみます。
ペーパーを挟んだまま組んでみるとわりとギュっという感じで収まってくれるので、大まかにこの「ペーパー厚」くらいの薄板を作ればいいんだな、と予測できます。
マホガニー材を薄くしていきます↓↓
少し削ってはジョイントに挟み、組んでみる。。。。少し削ってはジョイントに挟み、組んでみる。。。。を、繰り返し・繰り返しおこない、徐々につめていきます。
たまにね、気を抜くと「パキッ」っとマホ板が折れたり割れたりするんです・・・・その瞬間「あ〜〜〜〜最初からやり直しだ〜」とかなりへこみます。。。
私のやり方は、この段階ではまだ完全にピッタリ合うまで調整しません。少し余裕を持たせておきます(ピッタリまではまらないように)。リペアマンにより手順は様々なので、ここで紹介している手順はあくまで私流です。
この位の余裕を持たせます。
この段階でマホの薄板をネック側の接着面へ接着してしまいます。当て木はクランプが傾いたりしないよう、↓↓自作した専用のものを使い、完全に密着するようにします。
←マホの薄板を接着したところです。
ここまでも地道な作業だが、ここからも、さらに地味〜〜〜な作業が続きます。
ですから少し休憩してスカッとしましょう。スカッと。
昨年11月下旬、スカッとしに、沖縄本島にカイトへ行ってきました。
例年だと宮古島なんですが、連休という事もあり帰りの便がうまくとれず、今回 初の沖縄本島カイトトリップ。総勢9名。
11月のこの時期、沖縄は北東風が吹く。気温も27度と夏が戻ってきた感じ。とくに宮古島は山が無いので海上からの風が障害物で遮られる事がなく非常に安定した良い風になるのでカイト天国です。今回は本島でしたが2日目だけ風が非常に弱く、午前中は首里城観光、午後海に行っても最大サイズとデカボードを組み合わせてなんとか乗れるか乗れないか・・・・という日でした。
カイトボーディング(カイトサーフィンとも言う)って、その時の「風の強さ」によって使う「カイトのサイズ」を変えるんですね。
「○○平米」で表しますが、だいたい風速4〜6Mだと17〜19平米サイズのカイトを使います。いわゆる最大サイズ。下の赤いカイトがそうですが、間近で見るとかなりデカイです。
風速が強い日はカイトのサイズも小さいものをチョイスしますが、その人の体重によっても違うので一概には言えません。
サーフィンと違って使用するボード(板)の大きさも小さくコンパクト、私が使っているのは130cm×39cm。もちろん波が無くてもできますし、いやむしろ波が無いほうがいいんですが。風さえあればできます。その「風」が吹かないと、サーファーで言うところの波待ちならぬ「風待ち」になりますが・・・。
遠浅なので波が小さくフラットな海面で非常に快適にランディングできます。
たまにぶっとびすぎて海水をたっぷり飲まされる事がありますが、この浮遊感と大海原をどこまでも行く開放感がやみつきになります。
関東、もうこの時期になると「海のカイト」は寒くておしまい。勿論冬でも海カイトする人はいるが私はやらない。
これからはスノーシーズンですね!冬はやっぱりスノーカイト!
昨年グーグルのCMで「空飛ぶスノーボード!?」と話題になったおかげで例年より講習生が多かったようですが、なかなか継続してやろう!という人は少ないみたいですね〜。海と違い、スノーカイトのほうはスノボやスキーをやっている人であれば1〜2日の講習で比較的簡単に滑れるようになります。興味がある方はぜひ体験してみては?
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さ、仕事に戻りましょう。
ええと、どこまで話したっけ・・・・・そうです、マホ薄板を接着までしたんですよ。
お次はチョークの出番。
こんなふうにボディ側の接着面を白いチョークで塗ります。
いや、私は赤か青のチョークがいい!という人はお好きな色で。。。
チョークを塗ったらネックをギュギュッと差し込みます。
→→
するとどうでしょう、密着している部分はチョークの粉が付くので分かるんですね。↑↑
先ほどのこの部分の隙間→が無くなるまで、少し削っては組んで、を何度も繰り返していきます。単にギュッと収まればいいだけではなく、同時にヒール部分が浮かないようにも気をつけなければいけません。場合によっては左右・センターのズレが大きい物もあるので、両側の薄板削り量はそれらを見極めて微妙に調整しながら削ります。
こうして徐々にピッタリとはまるようにしていきます。チョークの粉が全面に付着してくるようにね。
動画もご覧ください
全ての準備が整ったら、最後にクランプで仮固定して弦高もチェックします。
接着してしまったら後戻りはできないので、見落としがないか何度も確認しましょう。この流れのままで接着作業に入るよりか、一晩ほど放置してから接着したほうがいいかもしれません。時間をおき落ち着いてみると「あっ!」という見落としとかに気づくかもしれませんよ・・
いざ接着を塗布!
モザイクしてしまいましたが↑↑マスキングテープに工房名とネックリセットを20○○年.○○月に行ったよ、と英語で記載したものを貼っています。こうする事で将来、20〜30年後かもしれないが再びネックリセットを行った時に、作業したリペアマンにとっても何かのヒントや知識になります。
ヒール部分は浮かないように念のため↓↓このような長尺の木製クランプでも固定します。指板部分もね↓↓
一晩〜もしくは丸2日ほどおき・・・・・
15フレット↓を打ち、どちらが1弦側か6弦側か分かるように抜いた時にサインペンで記載してます。綺麗に磨きもかけて↓
最終的に弦を張りチューニングした状態で弦高を測ってみると6弦側で約2.0mmでした。
その後、様子見と状態を馴染ますため3〜4日ほどチューニングした状態で放置したところ6弦側は約2.4mmになっていました。
ブリッジサドルを削り弦高調整を行う時は、このように弦高が変化するので、ある程度放置してギター全体にかかる力が馴染んでから最終調整を行いましょう。
完成!
今回はフレット交換などは行いませんでしたが、ケースによってはネックリセットと同時にフレット交換やネックを真っ直ぐに修正しなければならない、などイロイロな状態に出くわす事があります。ブリッジ厚がすでに薄く削れていればブリッジ交換もしなければいけませんしね。
こういった大がかりな修理の時は「そのギターの状態」をいかに正確に把握して、先の先まで見越したうえで段取りや必要な処置を考えなければなりません。私の場合は1週間ほど毎日そのギターを手に取ったり、休憩中に頭の中でシミュレーションしてみて、結論・方法を出します。その間、何度も「本当にその段取りで間違いないか?」と自問自答します。
そのギターの事を毎日少しでも考える時間を持てば、初見でおのずと見落としているかもしれない部分や「ん!?」といった事が浮かび上がってきます。
先ほどのカイトの続き・・・
友人のフェイスブック繋がりでこんなネタをあげている人がいた・・・
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「Capture The Flag」というCGアニメ映画
日本では上映されなかったのかな??(*上記リンク先DVDは日本語字幕ありません)
冒頭部分なのか分からないが、カイトボーディングの場面が出てくるPVがある。
ほ〜、ようやくカイトも映画でとりあげられるようになったか〜、なんて観ていたら、か・な・り・ツッコミどころ満載で笑った
↑おいおい、風はどっちのほうから吹いてるの??
とか
おいおい、カイト上下逆さまだよ↑バックリランチ状態って言うんだけど、この状態での"爆走"はないだろう
とか滅茶苦茶w
海外じゃメジャーになりつつある(というかもうかなりメジャー)スポーツなんだからCG製作の際、プロのカイトボーダーを一人監修役として雇うなり意見を伺えばよかったのにね。ウインドサーフィンやっている人なら、たぶん風向きとか自分が移動できる進行方向とか分かると思います。
いつもご覧いただきありがとうございます。
本年もZinギター工房をどうぞよろしくお願いいたします
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