2016.07.06. ----1ページ目-----     PAGE 1

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梅雨とはいえ最近蒸し暑い日が続いていますね。そろそろ「夏本番!」が待ち遠しい今日この頃・・・

本日はハウリングについてアップします。

ご存じのとおり、私が好きな音楽は「ヘヴィーメタル」です。ヘビーメタルでもベビーメタルでもなく、Heavy Metalです。だからといって日常生活で革ジャン、ブーツ、指おったてて、ベロ出して、ヘッドバンキングなんかしていません。いたって真面目な生活パターンです。

 

ハードロック、ヘヴィーメタルという音楽をやっていると、ギターはギンギンにディストーションをかけたサウンドが基本ですよね。高校生の頃とかバンドでスタジオ練習入ってこんな経験ありませんか?

 

ギターのやつ:
お、マーシャルアンプだ。よっしゃ、今日もエフェクターかましてリフはズンズン歪ませていくぞ。

冷静なベーシスト(私):
あんまり歪ませなくてもいいんだよな〜・・・輪郭がグチャっと潰れてツブが揃わず、なに弾いてるか分からなくなるんだよ・・・・

ギターのやつ:
ズンズンズン、(ヒィ〜ン)、ギャンギャンギャン、(ヒュイ〜〜ン・キ〜〜〜〜ン)、ギュイ〜ン、(ヒ〜〜ン)・・・・

冷静なベーシスト(私):
おいおい、なんかやたらハウリングしまくってないか?

ギターのやつ:
ん?そう?こんなもんだよ。ノイズゲートたっぷりかけりゃ大丈夫だよ。

冷静なベーシスト(私)
そ、そうか。。。。。。。?

 

 

宅録派や家でヘッドホンして弾く事が多い方の中には、ハウリングにあまり関心が無い人も多いかと思います。あ、あとクリーントーンサウンドでギターを弾く人も。

今回の主人公はこのOrvilleのフライングV君です。「百聞は一見にしかず」先に動画を観たい方はこのページの一番下へ・・・

 

先にハウリングする原因を言ってしまうと「P.U」です。

正確にはP.U本体とP.Uカバーとの「隙間」が蝋=ワックスで満たされていない。もしくは全くロウが使われていない、など。

ちょっと気になったので調べてみたら、ロウで検索すると金属同士を接着するための銀ロウとかいうものが多くヒットしますね・・・私がいまここで言っているのは蝋燭のロウ。ワックスです。

ワックスも種類がいろいろあります。パラフィンワックス、ステアリン酸ワックス、蜜蝋、木蝋、等々。ものによってすぐに固まるものや、融点など違うので、本格的にP.Uをポッティングする際はロウ=ワックスの種類も適正なものをチョイスしましょう。

上の図をご覧ください。ハムバッキングピックアップの構造はこんな感じですが、カバーと本体の間には隙間ができます。ダンカンやディマジオ、いわゆるリプレイスメントP.Uで有名どころのP.Uは右図のようにしっかりと内部(空間)がワックスで満たされています↑↑。

ご自身でP.Uカバーを取り外した事がある方はベットリと蝋=ワックスが付着している光景を見た事があるかと思います。

内部・空間がロウで満たされてるか否かの判断は、ギターをアンプに繋ぎ、クリーントーンの状態で、ピックでP.Uカバーをコンコンと叩いていると分かります。内部に隙間があったり、ロウで満たされていない時は「カンカン、キンキン」といった甲高い音がします。

いっぽうちゃんとしたピックアップですと(ロウで満たされている場合)、「トントン」といったこもった音がします。内部になにか詰まっているような音がする。最後に一連の作業を動画にまとめているのでぜひボリュームを少し上げてご覧いただきたい。

 

という事でバラします。

  

 

取り外してみて裏側を見てみると「また、コイツか〜・・・・・」

もう何度も経験していますが、このピックアップ↑↑Gibson製ですね。カバーとの隙間にロウが使われていないんです。

因みに1個はカバーとアースのハンダが取れてました↑↑。余談ですが、これもよくある不具合の一つ。P.Uカバー"だけ"を触った時に「ジー」というノイズ音が増したらこの部分のハンダ不良を疑ってください。
*身体の一部が弦や他の金属パーツに触れていたら分かりませんよ。

 

外したところを見てみると、カバーと本体は両面テープ(厚手のクッションタイプ)で固定されていました。

 

綺麗です・・・(ほんとは綺麗じゃいけないんですが・・・)

  

 

 


 

ちょっと前後しましすが、P.Uカバーを外すには、ハンダ吸い取り線でまずハンダを取らないといけません。

←このP.Uは裏側が基板のようになっていてハンダを除去しやすいです。が、このようなタイプは滅多にないので、多くの通常P.Uはここのハンダを除去してやるのにけっこう時間がかかる時もあります。ワット数が大きめなハンダごてで一気にジュっと吸い取りつつ、ハンダが溶けた状態でマイナスドライバーなどで隙間をこじ開ける感じです。

 

 

←P.Uカバーとハンダがしっかりとくっつくように、この部分はヤスリなどで磨いておきましょう。

 

続いてアルコールで表裏の汚れを拭き取ります。

  

ポールピース用の穴はマスキングテープで塞ぎます。準備が整ったらロウを細切れにして投入。

 

  

私が使っているのは市販されているロウソク(キャンドル)です。ハンズとかキャンドル屋さんとかで蝋燭が「ツブツブの状態」でも売られてますよね。

 

ラバーヒーターの上にP.Uカバーを置いて、蝋が溶けるのを待ちます。

  

完全に溶けたら前後左右に少し動かして全体に行き渡るようにし、P.U本体をはめ込みます。すぐにP.Uカバーごと持ち上げてギュッと押し込まないとポールピースの出っ張りがあるので完全に入りきらず注意が必要。

←まだ温かいうちにハンダ付けもしてしまいます。

 

完全に冷えたらマスキングテープを剥がして、はみ出したロウを拭き取ります。完成↓↓

  

 

さて、一連の作業工程を動画でご覧ください。

 

もっと本格的に行うには、下画像のような(これ、友人からいただいたチョコレートフォンデュ用 の器機)ものにドボンしてじっくりと浸透させますが、今回ご紹介した簡易的な方法でもかなり効果はあります。
完全にドボンしてコイル部分にまで浸透さす方法だと、使用するワックス/ロウの種類など気をつけないと、ロウが固まる時にコイルが断線する恐れがあるので注意が必要です。

さあ、いよいよ夏本番!でもフォンデュの時期じゃないですね。。。。

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