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ゴールデンウィーク前に少しでも修理品を仕上げておこうとバタバタしてましたが、その甲斐あってかこうして記事を書く時間が持てました。皆さんはどのようなGWをお過ごしでしたか?
さて今回はアコースティックギターのピックガード剥がれの修理です。オールドのマーチン等に代表されるいわゆる「塗りこみタイプ」のピックガード剥がれです。オリジナルのピックガードは再利用できないので新しいピックガードを製作して貼ります。
塗りこみタイプとはどういうものなのか、下図をご覧ください。
塗装をする前にピックガードを表板に直接貼ります。そのあとに塗装を塗っていき、塗装の中に封じ込める方法です。近年一般的には塗装を施し、最後に両面テープでピックガードを貼ります。ちなみに塗り込みタイプのピックガードをトップ板に直接貼る場合は両面テープではなく、アセトンをピックガード材に塗布し、貼る面が溶けたところで貼ります。バインディングも同じ方法(の場合もある)。
*したがってアセトン等の溶剤で溶ける素材でないとこの貼り付け方法は不可
さて、こうして貼ると新品完成時はなんら問題ありません。ところが年月が経つにつれて「塗装が収縮、ピックガード材自体が反る・縮む」ことで剥がれてきます。勿論「通常(塗装の上に貼る方式を仮にこう呼びます)」の貼りつけ方法でもピックガード材は反ります。ただし「通常」は塗装がされていませんので塗装の収縮・引けによる影響は受けない。
こうして反る事によりピックガードが剥がれ、当然ながら塗装も割れます。た・だ・し、それだけで済めば問題ないのですが・・・・やっかいな事態も同時に引き起こしてくれます。
まずは剥がしていきましょう。ものによって簡単に剥がれるものとそうでないものとありますが、今回のケースでは手で少しずつ剥がしていけば簡単に剥がれました。途中でトップ板がささくれる(ピックガードと一緒に持ち上げてしまう)ような事がないように気をつけます。
完全に剥がれました。
ではよ〜く観察してみます。先ほどやっかいな事態、と言いましたが、そうです、このようにトップ板にヒビ割れが生じているケースがよくあるのです。
塗り込みタイプの剥がれでは、本当によくある事ですが、ピックガード材が反る・剥がれていく過程でトップ板も一緒に持ち上げてしまい、結果として板割れを引き起こします。今回のケースではヒビ割れに留まっていたのでラッキーです。ひどいものだと板ごと持ち上げて、ヒビ割れ程度では済まされない事も。
ヒビ割れを直していきましょう。
←接着剤がはみ出してもいいようにマスキングします。
←→
割れ部分を押さえてみるとこのように割れが閉じます。↑↑
そこで、内部に↓支え・つっかえ棒を立てて、クランプで押さえます。
←接着剤を流し込み、クランプで押さえつけます。
さて、塗り込みタイプの場合再びなにもせずにピックガードを貼るとまた同じ事がおきます。なので剥がしたあと、無塗装の部分だけ塗装を施します。ようは「通常」貼り方式に変更します。次ページでは塗装・・・。
数ヶ月前の出来事。ふと気づくとメイプル指板のフレット交換依頼が4本も同時期に。
内2本はオイルフィニッシュ仕上げだったので塗装する必要はなかったが、さすがに4本同時進行でフレット交換作業を行うと疲れます。同じ作業はまとめて行ったほうが効率がいい事は確かですが、フレット端の処理など、やっても、やっても、やっても、やっても・・・・・・・・・・・・・・・・・永遠に終わらない(気がした)
全て完了した時は効率がよかったのか2倍の手間がかかったのか、なんだかよく分からない気持ちで終了〜。
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