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え~と、良い題材(修理依頼)があったので、「フレットの交換」と「指板修整」の工程を紹介していきます。「オイオイ、マーチンの方はどうなってるんじゃ!」とつっこまれてしまうかもしれません(02年5月9日時点)が、コレは仕事で納期限あり、(あの)マーチン修理は納期限なし。って事で・・・ひまはないが、ひまを見つけてすこ~しづつ先へ進んでいます・・・楽しみながら。
さて今回のギターの写真です。タカミネのSANTAFE MODELです。サンタフェといえば頭に思い浮かぶのは宮沢りえですね~(笑)
余計な話に反れないようにガンバリます。ギター正面の全体像は諸事情により載せていません。
すでにフレットがかなり摩耗して凹みが激しいです。明らかに要所、要所でビビリ音が確認でき、持ち主もハッキリとその不具合を自覚した時点で持ち込まれたギターです。そうです、テレキャスのすり合わせの時に書きましたが、見た目でフレットにへこみ痕が確認できる。なんだか不安だからとりあえず「すり合わせ」or「フレット交換」してください、とお店に持ち込まれる方が多い。私は必ずお客様に問います、「見た目だけでなく自分が普段弾いていて明らかに凹み部を弾くと気になりますか?(音&感覚ともに)」と。大半の人が見た目の「凹み」だけが気になって持ち込んできます・・・まあそれはそれでいいのですが。
フレットの「すり合わせ&交換」は明らかに「ビビリ音&弾いた時の感覚」に不具合が出てから行いましょう。多少の凹み痕は「俺はこんだけ弾きこんでるぜー!」という勲章のようなものです。ということで、では、また!・・・・・・・・・・
いやいや、こんだけで終わっちゃいけません。気をとりなおして、まずはナットを取り外します。取り外し方はリペアマンにより様々です(だと思う)。ここでは簡単に私の手順を紹介します。
周囲の塗装に割れが入らないようにナイフで切り込みをいれます(これはほぼ100%のリペアマンがやるでしょう)。次にくいきりを使い左右にグズグズと(決してノロノロやってません)いう感じですこ~しづつ引き抜きます。取り外し完了です。(実際はこんな簡単ではありません)
他にもいろいろと「技」&「使用する溶剤」&「手順」様々あります。が、それは''X-FILE''という事で・・・・
(いつまで続くんだ~?モルダー捜査官)
次はいよいよ本番のフレット抜きです。これまた手順は様々、人により違います。私の場合まずレモンオイルをたっぷりと塗ります。これでこんがりとお肌が焼けて健康そうな・・・・・・。えっ、え~と、塗り終わったらオイルがなじむまで少し時間をおきます(言い忘れましたが始めの状態チェックの段階でレモンオイル&ティッシュでしっかりと手垢ヨゴレなどを落とします)。
オイルがしっかり馴染んだら、アイロン(ヒーター)で指板をしばらく温めてやります。温度は約50~60度くらいにしてあります。
ついでに缶コーヒーが冷えてしまったので温めてます(笑)シャレですよ・・・・。
*2012年追記>>
現在はアイロンで温める事は行っておりません。下記ハンダごてによる方法だけで十分と判断した結果です。
温めて始めてから約15分ほど、70~100Wのワット数大きめのハンダこてで一瞬だけ熱し、くいきりを使い端から徐々に抜いていきます。抜くというよりは常に押さえつけながらずり抜くという感じですかね。うまく表現できません。要は極力、木材がチップ(欠ける)しないように注意して行います。なぜハンダこてで熱するかというとギター(メーカー)によっては、フレットを打つ時に接着剤が使われているからです。これは接着剤でフレットを止めているのではなく、あくまで補助的な役割で接着剤を使用しています。フレットを固定しているのはあくまでボコボコしてる爪(でっぱり)です。
ちなみに接着剤が使われているものは、ハンダこてを当てると一瞬ケムリがたちます。
私の場合ハイフレットから抜いていきますが、ある程度まではアイロンをのっけながら冷えないように進めていきます。
抜いた後は写真のようにめくれてしまった木部を押して戻してやります。1本抜くごとに押さえてもいいですし、全て抜いてから押さえてもOKです。ただしその場合は、抜いた箇所に腕や服などが触れない様に注意。服などが引っかかるとめくれた部分の木片が剥がれてしまうので。
全て抜き&押さえ終わりました。めくれてしまった部分は戻したとはいえ、このままではすぐにポロポロと剥がれてしまうため、瞬間接着剤で固定してやります。使用する瞬間接着剤は木材に浸透しやすいように粘性の低いものを使います。
これは私のやり方ですが、サラサラの接着剤を逆さにして直に付けようとするとなかなかうまくいきません。しかも付けたい部分はめくれた部分の上層部だけで、あまり溝の中には入ってほしくありません。そこで考えたのが(図)のやり方です。千枚通 しのようなものを使い、溝の上に置きます。で、その上に接着剤をチョンチョンと微量 に垂らしてやるのです。そうすると木部に接触している部分からうま~く接着剤が伝わっていきます。
(右図:分かりやすいように実際とは異なる寸法で表現してあります)
この作業、あまり近寄りすぎてやっていると瞬間接着剤の気化したものが眼にしみて、そりゃーもう痛いのなんのって・・・(笑)
さあ全ての溝を瞬間接着剤で処理し終えたら、完全に乾くまで置いておきます。
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