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チト、久しぶり・・・リペア追加です。ものはS.YAIRI「YD-303」2~30年前の物です。このギターに対するオーナーさんの不満は「弦高が高い」こと(しかもか~なり高い!!)で、なんとかならんか?という依頼です(ついでにフィッシュマンのPUも取り付けます)。なにはともあれ、まずはじ~っくりとギターの状態をチェックしていきます。

[余談] 最近(ここ数年)S.ヤイリは復活しましたが、今のS.ヤイリはいわゆる一般 的な量産品と同じです。とは言ってもやはり10万円以上のモデルはいいですね。

はじめの状態です。

 

ブリッジ厚は中央部分で8.5ミリほどあります。右の写 真サドルは「サドルの溝幅」に対してかなり薄いので(溝自体の深さが極端に浅いことも・・・)傾いています。それからこのブリッジは一見真っ黒で「おっ、エボニーブリッジ?」と思う方が多いですが、実は通称「なんちゃってエボニー(私だけの通称・・・かも)」でローズウッドに黒色を塗ってあるものです。削ったり、ペーパーをかけると黒が剥げて、本来の木の色(たいていローズウッド)が出てきます。安物の楽器ではよく見かけるのですが、ブリッジだけならまだしも指板も「なんちゃって」だったりすることもよくあります。とくに指板は指で擦れる所ですからあまり良いことだとは・・・・・・・・・・・

次に今の弦高です。1弦側が約3.3ミリ、6弦側が約3.6ミリです(12フレットの頂点から弦の底辺までの距離です)。高い!弾きにくいです!しかし・・・ボトルバー奏法にはGOOD?


さて次のページでは実際の作業ですが、その前にイロイロと計算(判断)をしなければなりません。

 


 

ブリッジの厚みは8.5ミリ。サドルの溝深さが極端に浅い(両端の所で約1ミリほどの深さ)。現在の弦高は1弦側3.3ミリ・6弦側3.6ミリ。修理後の希望弦高は1弦側1.9~2.0ミリ・6弦側2.4~2.5ミリほど(サドル上で1ミリ低くすれば12フレットでの弦高はその約半分になるので・・・)そうするとサドルを削る量 約2.4~2.8ミリです。ところがブリッジのサドル溝からサドル自体が顔を出している量 は約2.5ミリほどです(図参照)。


 


これでは希望の弦高にするためにサドルを削るとブリッジの中に埋もれてしまいます。そこでブリッジの厚みを少し削り、薄くする事でサドルが埋もれてしまわないように加工していきます。ここまで計算・考えていくとブリッジをどの程度削ればいいか分かってきますよね。ちょうど今のブリッジのてっぺんのところで希望する弦高になるのですから、削る量 は約2.5ミリにしましょう。サドルがブリッジから顔を出す量がある程度ないと、サドルの上で弦がブレてビビリ音につながります。前述の「ブリッジ溝」も深くしなければいけません・・・・・このままブリッジを薄くしたらマーチンのロングサドルっぽくなるか!?(笑)



以上のように予測をたててから作業にうつるわけですが、もちろんネックの状態やボディトップの膨らみ、ジョイント部、内部ブレイシングの剥がれがないか?など様々な角度から入念にチェックしていきます。このケースの場合はその他の状態に問題がないため上記の方法で対処する結論に達しました。今回の方法がダメなケースとしては「すでにブリッジ厚がかなり薄くなっている(以前に削られている)」や「表板の膨らみがはげしく、計算上いくら削ってもダメな時」他イロイロ、特に気をつけないといけないのは「ネックの起き上がり」、これが激しいと弦高を下げたのはいいが10F~12F~とハイポジになるにつれビビリが増すので(要は弦高が下がっていく)12~14Fを弾こうものなら''ペシペシ''ジョー・ペシ状態です(笑)(いいですね~、JFK、リーサル~、ペシのキャラ)。このような時はもっと根本的な解決方法、多くはネックのリセット等です。

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久々の「文章書き」ですこ~し緊張気味の私。ここまで書いたら「ノッてきた」(笑)。では、はりきって次のページへ。

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