当サイト内、個々の"コンテンツページ"へ直接リンクを貼っていただいて構いません。尚、当サイトに掲載されている画像等の無断転載はご遠慮下さい。
スポンサーリンク
2018.3.2. ----2ページ目----- PAGE
1
2
3
4
5
<<< REPAIRページ(修理記事一覧)へ戻る
作業開始
まずガイドとなる丸穴をドリルで開けます。フレット溝部分に開けますが、ロッドや新しく埋めるカーボンなどの邪魔にならない位置に開けるようにします。ローポジ側、ハイポジ側、2ヶ所。
ワーウィックのボディは3D形状のためかなり湾曲しています。今後の作業のためにもまずはボディ・本体をしっかりと作業台に固定できるようにしなければいけません。そこで、合板材をベルトサンダーで加工して、ボディ形状とおなじ緩やかなカーブにしコルクを貼りました。
お馴染み、シートヒーターで温めながらナイフを差し込み剥がしていきます
指板はウェンジ材ですが、あまりお目にかかる事がない素材。調べると「非常に硬い」とあるが、なんとなく木目の見た目からか、それほど硬い材には思えない・・・・・が、この木目に沿ってすぐ"ささくれ"そうで、少し身構えながら作業する事にします。
とくに問題も無く、指板剥がし作業は完了
←そしてフタを開けると〜・・・まだ見えにくいですね。後で・・
メイプルの下に↓トラスロッドが埋まってます。ノミなどを使い少しずつ少しずつ掘り起こしていきます↓
→→
経験上、この部分の接着はけっこう弱く劣化しているケースが多かったので、ノミなどで掘ると「パキッ」という感じで接着が剥がれ比較的かんたんにメイプル材を除去できた。
ところがどっこい、今回はかなり大変!
写真だとあっという間に見えるが、けっこうな時間がかかってます。そしてノミの「刃」やられました・・・ボロボロ
なんとか取り外す事ができたトラスロッド↑
そして今回の予想外だった金属製の補強材がコチラ↓↓
接着剤でガッチリ埋め込まれています。
上の画像を見ていただくと分かると思いますが、↑↑なぜか金属棒/補強材より長く溝が掘られていて、余分な空間・溝は樹脂で充填・埋められています。
「我がドイツの技術力は世界一ィィィ!!」
を、期待してたんですが・・・
スポンサーリンク
Amazon.co.jp ウィジェット
私はストーンオーシャンの途中までしか読んでない。昔からこの世界観が好き。
その影響かどうか
フレッシュなトマトにモッツァレラチーズ、バジル、オリーブオイルに岩塩を一振り、この組み合わせがたまらなく大好きだ。
・
・
・
・
・
でも四十肩の私にはそれほど効果はない・・・・
とりあえず、この邪魔な金属棒を取り外すべく、取っかかりをつけるために樹脂で埋められている部分を少しだけ掘ります。↑↑
余談:
修理が完成し、オーナーのO様がこのベースを引き取りにいらした時、作業途中の画像と取り外した金属棒に付着していた接着剤の残りを見てもらったのですが、↑↑この金属棒を埋める際に使用した接着剤はおそらく
「微発砲ウレタン接着剤」
ではないか、との事でした。O様のお仕事の関係でカーボンファイバー素材などお詳しいらしく、とても勉強になりました。
そう、2液混合のエポキシ樹脂でも金属の接着は可能なんですが、衝撃を与えたり、数年経つと「パキッ」という感じで「金属面」からエポキシ樹脂が剥がれてしまうケースを経験しています。つまり発砲ウレタンのように固化してもある程度の柔軟性・粘りがあったほうが金属のような素材にはよく密着するという事でしょう。
「邪魔な金属棒」と書きましたが、この結論に達するまで非常に悩みました。なぜ金属棒を撤去するに至ったかを考察・・・
これは1ページ目でご紹介した画像ですが、金属棒の補強材が埋まっているエリアを書き込んでみると、ちょうど補強が無くなる部分から変化しているのがよく分かると思います。とくに5弦側はハッキリしてますよね。
作業に入る前に、ネックの状態を入念にチェックしたときに違和感を覚えたこの↑↑↑曲がり方・変化の仕方も、この金属製の補強材で納得ができました。
もう1点、これは推測にすぎないが、このベースのネックは↓↓このように複数のピース構造スルーネック仕様です。
こうしたピース構造ネックは、一般的には「単体もの」より反りや変化に対して優れているという評価だが、この業界で長い間に経験してきた現時点での私の考えでは「必ずしも良いとは言えない」です。
作られた直後、製品・楽器として製造された直後はなんら問題ないのですが、10〜15年と時が経つにつれて、それぞれのピースによって経年変化の度合いが違う。またそれぞれのピースを貼り合わせている接着剤の劣化、などがあげられる。事実、このベースに関しても、ネックの握り部分を確認するとピースとピースの境目/接ぎ目でかなりの段差ができているのを確認しています。
ネック全体を観察すれば「金属棒のエリア」はかなり強度・剛性が高く、金属棒が無くなる部分でネックの急激な変化が見られます。おそらくメーカー側としてはネックの元起き(最近では腰折れとも言うのですか??)などの不具合を未然に防ぐためにこの部分へ補強材を施したのだと思いますが、このケースでは裏目に出てしまったのでしょう。
という事で、全部が全部こういう事になるという事ではなく、あくまでこういうケースもあるよ、という程度に捉えてくださいね。
さて、ここから「この金属棒を取り外す作業」が今回一番の難所でした・・・
基本、熱を加えて取り外しますが、どうやったら効率的に熱を加える事ができるか悩みました。
最初に考えたのは
ガストーチ
金属棒の周囲をなにか断熱材のような物でカバーして小さなポケットトーチのようなもので熱すればいけるかな〜なんて考えました。
でも、すぐに木材が焦げてしまう事になりそうだったのでこの案は却下。
しばらく思案したあと、単純にハンダごてで熱すればいけるかな?・・・と
まずはドリルで適当な穴・くぼみを開けます↓↓
こうしたほうがハンダがこぼれにくく、ハンダごて自体も固定しやすくなる。ハンダの"のり"もいい。
←ハンダをタップリとくぼみに充填し、しばらく放置しておきます。
ハンダごてのワット数は(切り替え可能なタイプなので)MAXに。
十分に熱が伝わり、大きなマイナスドライバなどで↑↑グイグイやると、外れてきた
ハンダの位置もずらして再び加熱→
1本目はわりと簡単に取り外す事ができました。
→→
ところが!
もう1本がヒッジョ〜に手強かった・・・・
そんなこんなでようやく取り出せた金属棒
3ページ目は、オリジナルのトラスロッド溝、補強材の溝×2、の埋め作業です。
2018.3.2. ----2ページ目----- PAGE
1
2
3
4
5
<<< REPAIRページ(修理記事一覧)へ戻る