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ようやく裏板を閉じる段階へこぎつけました。
記事へまとめて書いていくとあまり時間がかかってないような気がすると思いますが、実際はクランプ一つかけるのに何度もシミュレーションして、とか手間がかかってます。

バック板が接着される部分(ライニング材)は綺麗にペーパーがけしておきます。

 

本来ならこのような治具を使うが・・・・

普通のアコギならこんな治具↑↑を使って綺麗に整えるのだが、このウクレレはなんとテイルブロックの形状/傾斜が逆↓↓
なのでなにも治具は使わず慎重に研磨。

このウクレレのテイルブロック、下図のような形状をしている・・・普通は↓右なんだけどね。
*かなり極端に描いてます

 

バック板を接着するにあたり↓↓今まで使用してきたコイツに角材をネジ止め。
  

こんなふうに↓↓バイスへ固定できるように。

 

とりあえずフタしてみましょうか

 

ブレイシングが収まる部分は干渉しないかよくチェック。もし干渉するようなら削っておきましょう。

  

←このようにピッタリ収まればOK

 


 

さ〜、フタ閉めるぞ!

上の画像は仮クランプした状態です。ここまでかなり慎重に作業してきましたが、ある程度のズレは仕方ありません。なにもせずにそのまま固定していくと100%合わないので、手で押さえ込んだり、ハタガネを使ったりしてバック板が側板と合うように固定していきます。

 

接着の順序は表板の作業と同じく数段階に分けながら。

↓テイルブロック近辺のクランプをいったん外してパレットナイフで接着剤を入れて固定。次に↓この部分を・・・・
→→

 

↓次はこの部分を・・・・・      という具合に少しずつクランプを外しては接着剤塗布しクランプを繰り返し進める
→→

 

 

反対側へ↓  部分的にクランプを外しては接着・・・・・このような方法をとると時間をかけてゆっくり慎重に接着作業を進める事ができてせっかく合わせた接着位置もズレません。
→→

この大量のクランプを、事前に接着剤を全体に塗布しておき、接着剤が乾いてくる前に(微調整できる時間内に)一気にクランプするのはたぶん無理です。いや、可能かもしれないが、気持ちは焦るし、精神衛生上よくない。

→→

 

一晩置き、バック板の接着完了!

 

 


 

休憩

一眼レフカメラの「レンズ」が気になりだした。

数年前に商品(StabilizedWood)を撮影する目的でPENTAXのK-S2というモデルを購入したのだが、今までとくに不満もなく使用してきた。

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購入した時にチョイスしたのはダブルズームレンズキット。焦点距離は18-50mmと50-200mm

 

今まではあまり気にならなかったのだが、さらなる商品撮影向上を目指して様々なプロが撮影した商品画像を観るたびに「何かが違う」と思い始めたのが今回このマクロレンズを購入したきっかけだ。

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↓↓↓左がズームレンズで撮り同じサイズになるようカットしたもの

  

右がマクロレンズで撮ったもの↑↑↑

マクロレンズで撮ったほうはf値を小さくしたので焦点が合っているところ以外はかなりボケてますが、金属の微細な質感までハッキリと分かります。いっぽうズームレンズのほうはなんとなくぼやけているというか・・・・

マクロレンズって普通の遠景撮影にも使えて便利。なんかもうコレあれば普段使いは十分じゃない?って感じました。

当然、奥さんには内緒。あ、コレ必要経費ですから、経費。

 


 

バック板も接着できたし、一安心です。ここまで長かった・・・・

最後に指板をボディと接着しますが、使用するのはタイトボンドではなく「液体ニカワ」。お馴染みフランクリンのタイトボンドラインナップの中で「GENUINE HideGlue」というやつです。以前はLiquid HideGlueという名称でパッケージデザインも違った。

  
これは賞味期限があるので気をつけましょう。ペロッと舐めると・・・・いや舐めてはいけない。期限過ぎて劣化してくると固まっても接着力が弱かったりします。

クランプはこんな感じで→

 

ラストスパート! ボディ全体をサンドペーパーで木地まで剥がして塗装前の木地調整をおこないます。番手は#150→#240→#360くらいかな。

まずはテイルブロック部の側板(厚みが違う部分)からいきます。厚いほうはバック板より少し出っぱっているのが分かると思います。本来であればあまり板厚を薄くはしたくないですが、仕方がありません。薄いほうに合わせて削っていきます。
  

矢印部分はまだ木地まで露出していないが、ここらへんでストップ

完全に平坦になるまで削り込んだら、ペラペラ状態になってしまいますからね。このあたりは「良い加減」で判断しましょ。

 

  

← ↑塗装を剥がしつつ、側板と表裏板との境目を合うまで削り、段差などが無くなるように整えます。

 

表板だけは最初から#360でペーパーがけし、接着剤の残りカスが落ちて、塗装表面が綺麗になったところでストップ。木地まで剥がしませんでした。ブリッジとかが邪魔になるので木地まで剥がして塗装するとブリッジ周りや指板の「際・キワ」とかが、綺麗に塗装できない事が多々あります。
  

 

 

木地調整完了。木粉を吹き飛ばしアルコールで全体を拭きます。

  

表面はまだ塗装が残っているのでアルコールは厳禁。

  

 

塗装工程に入ります・・・・・

 


 

 

完成!

あえてブリッジ部の板欠損↑はそのままにしておきました。

バックリ割れていた↑この部分もこのとおり綺麗に

塗装の仕上がり感はオリジナルと同じく、薄くしてます。

弦高も十分低くセッティングできる状態で仕上がってます

後日このウクレレの持ち主からお電話をいただきました。綺麗に蘇ってくれて感謝の言葉をいただけこちらも本当に嬉しいかぎりでした。
この仕事をしていて本当に嬉しい瞬間は、持ち主が満足し、その姿を見る事、聞く事。

ところで、最初にお伝えしましたがオーナーさんは91歳。連絡手段も「携帯電話のみ」FAXもなければ当然Eメールなんてものも知らない。

「このウクレレの修理工程を当方のホームページへアップしてもいいですか?」
と、了承をいただこうと電話で話したところ、インターネットも知らない「何を言っているのか意味不明だ」と言われてしまいました。
た、確かにおっしゃるとおり。お年ですから、ネットやメールなんて知らなくて当たり前でしょう。

そこで例えとして、テレビなど広く世間一般の方々へこのウクレレの事を紹介してもいいですか?と聞いたところ
理解してもらえたようで、こうしてアップする了承を得ました。
生き返ったこのウクレレをまた弾き続けてほしいですね!

 

5ページにわたりご覧いただきありがとうございます。
おつかれさまでした。

 


 

そういえば、うちの婆ちゃん(ヒイバア)は91歳でパソコンやデジカメ、スキャナー、メールもやってるな。
スマホだけは未だトライできていない、ガラケーだ。今度スマホに乗り換えるように説得してみよう。。。。

 

ちょっと閲覧注意
3ページ目で祖父のアルバムをスキャン(デジタル化)してる事を書いたが、
アルバムNo3を覗いてみたら爺ちゃんの赤ん坊の時の写真があった。
隣には関東大震災(1923年/大正12年)での焼死体?の山がある・・・・いやいや、歴史の資料館やネットとかで観るより、自分の爺ちゃんが所有していたアルバムの中からこんな写真が出てくると、なんだかゾクッとします、すごく身近に感じるというか。と同時に凄い時代を生きてきたんだって。

  

あまり想像はしたくないが、うちの元気な婆ちゃん(ヒイバア)も年々体力は衰え、近い将来、来るべき時が来るでしょう。
でもね、婆ちゃんを見てると、60代になってから登山を始め、毎週のように山へ行って楽しみ、登山を引退した今は体操教室、ボランティアで介護施設へ行き「自分より"年下"の高齢者さん」達の話し相手になったり、まあアクティブで人生満喫してます。

たぶん「その時」が来ても、婆ちゃん自身は何もやり残した事はなく大満足で逝けるんだと思う。
自分の娘(私の母親)、孫(私)、曾孫(私の子供)に囲まれてね。

私はまだまだ人生半ば(あ、もう折り返し過ぎたかw)やりたい事は山ほどあるので全力でそれらを実現したいし、生涯現役でいたいですね。
婆ちゃん・爺ちゃんほど長生きできなくてもいいが、いざその時が来る瞬間には
「あ〜、俺の人生チョー楽しかった、大満足」と思いながら逝きたい。

なんだか「万引き家族」を観た感想を2ページ目で書いたので、人生というものを考える、といったところで締めてみよう。

 

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