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イラレ〜ラレ〜そして〜塗装でラリって〜

なんてバカなことは言ってないでインレイ、ロゴ修復作業です。

まずはヘッドの表面をスキャナーでスキャンします。

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こういう場面に出くわすと、若い頃にパソコンと出会えて良かったな〜って思います。21〜22才の頃に「パソコン」というものを所有できた事もいま思えばラッキーでした。バイト代はたいてね・・・・

私のMacLove歴はコチラ・・・
https://www.zinguitars.com/REPAIR_item/046_FrenchGraphic/FrenchGraphic002.html

私の年代だと周りの友人・知人のなかには「あ、俺アナログ人間だからムリムリ」とか言ってる人はかなりいます。会社のPC、ソフトしか使えないとかね。でも最近のスマホ世代はパソコンを触った事がない若い子もいるみたいね、キーボード打てないって聞いた時はビックリ。フリック入力のほうが早いらしい。私はフリック入力できん(笑)

 

 

スキャンした画像をフォトショップで正確に「平行」になるよう調整して保存。次にその画像をイラストレーターに読み込ませます。

あとはロゴをベジェ曲線で忠実に再現していきます。トレーシングペーパーとかをヘッドロゴに貼り、直接ロゴを写し取ってもいいのですが、直線や幾何学的な模様はイラレで描いたほうが圧倒的に綺麗に仕上がります。

アルファベットって左右対称が多いじゃないですか。なのでY、A、M、Hなど半分まで描いたらあとはリフレクトツールを使って反転コピー。

 

ロゴの下に位置する模様↓↓は手書きで写し取りました。これも半分まで描いたところでトレーシングペーパーを中心で折り曲げもう片方を描いてます。左右非対称のデザインなら気にしなくてもいいのですが、左右対称デザインの場合は完成時の見た目に影響してくるので、できるだけ左右対象にしたほうがよいです。限界はありますけどね・・・


だいぶ眼鏡も慣れてきた・・・・・

 

さて、イラレで描いたYAMAHAロゴはそのままプリントアウト。トレーシングペーパーで描いた模様はコピー機でコピー。

  

コピーしたものをパーツごとにカッターで切り取っていきます↑↑

ロゴの場合は(各ピースが分離していれば)1~2枚でいいですが、画的なデザイン(インレイの多くはそうですが)の場合、コピーする枚数は何枚も必要です(ピース数、各パーツが隣接するデザインが多ければ多いほど、必要枚数も増えます)。隣接するパーツをそれぞれ切り取っていくので・・・・分かりますかね? 花びらの一枚一枚を切り取っていく事を想像してもらえると分かりやすいかも。

 

 

切り取ったパーツを白蝶貝などの貝にアロンアルフアで貼っていきます。

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MOP(白蝶貝)などの貝は模様が均一でどこをとっても比較的おなじような「キラキラ具合」だが、これがアバロンや黒蝶貝(ブラックマザーオブパール)だと場所によってかなり色合いや模様が違う。裏表でも違う。今回は単なるロゴだが、なにかデザイン性のあるインレイを行う時は、このカットしたパーツ(切り取ったコピー用紙)を貼る時も、位置や方向など考えながら貼ります。

 

瞬間接着剤が乾いたら、糸ノコの刃を通すため、↓↓初めにAの中心部分などへ穴を開ける。約0.7mmドリル。
  
ジュエリー用の糸鋸刃は太さがいろいろあります。
私が愛用しているのはANTILOPE(アンチロープ)のNo.1、No.0、No.2/0、No.3/0、カットする細かさや素材によって適宜変えながら使用しています。この中で「No.3/0」がいちばん細いですが、この刃がギリギリ通る穴が0.7mmというわけ。勿論もっと細い刃もありますよ。

いちばん最初にA中心部など「穴」箇所をすべてカットしてしまいます。←赤範囲ね。なぜかというと、外周をカットしてAならA、OならOなどの形に切り抜いてから真ん中の「穴」をカットしようとすると、既に形状も小さいですし手でホールドしにくい、またデザインによっては細い部分があったりして折れやすくなります。

 

穴部分をカットしたら↓↓外周をカットして目的の形状に切り取ります。

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←慣れないうちは慎重にゆっくりと線どおりにカット。慣れたらノリノリでヘビメタかけながらガンガンカット。でもヘドバンまでしてはいけない・・・・

全てのパーツをカットし終えました

ここまでの作業を動画にしたのでご覧ください。カットの様子をじっくり観られるように14分くらいの動画です。興味の無い方は飛ばして観て下さい。

 

 


 

貝を埋め込むための掘り作業です。

すでにもとのロゴが存在するので、その部分を掘っていきます。ひとつ掘れたらはまるかどうか確認しながら。
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模様もおなじく。

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Gibsonのロゴ入れなどもそうですが、下地が「黒色」です。このようなケースだと意図的に余裕をもった「掘り」をします。言い換えるとブカブカでもかまいません。理由はあとで。

 

掘り作業完了

←あらためて綺麗にパーツが収まるかチェック。

 

お次はエポキシ樹脂での埋め作業ですが、その前に念のため黒の染料を染みこませておきます↓↓

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少し時間をおいて乾いたら次の作業へ→

←黒色にしたいつものエポキシ樹脂。A液&B液を混ぜ合わせた直後のサラサラ状態で塗布し、しばらく時間をおいてから↓↓埋め作業。

 

埋め作業の時はエポキシが傾斜で流れてしまわないよう、水平器でヘッド表面を水平に固定して作業しましょう。

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完全硬化まで72時間。3日間他の作業でもしてのんびり待ちます→

 

 

さあ、固化したら研磨

 

けっこうアバウトに掘って埋めているのが分かると思います↑↑ このあと塗装段階で"ロゴ部分だけ"マスキングをしてから黒色を塗らなければなりません。アバウトでもOKな理由がだんだん分かってきましたでしょうか。

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ではここまでの作業を動画にしたのでご覧下さい

 

 

←剥がし終えて分かった事がひとつ。てっきりバインディングは1本だけかと思っていましたが、内側にもう1本細めの黒色バインディングが施されていました。鋭い人はピンときた?

おそらく、黒色バインディングが内側にあれば、着色後に黒色をスクレイパーで剥がす作業で、万一誤って多めに剥がしてしまったとしても表板のメイプルが露出する事なく、黒色バインディングなので全く目立ちません。

この作業の事ね↓

もう一つ、1ページ目でこのギターのヘッド表面の塗装構造を図に表しましたが、「下地層と着色層」が一緒になっていると分かったのは、メイプル表板の木目に黒色が入り込んでいるのが確認できたからです。こうなる理由は、おそらく一番下の層であるサンディングシーラー層から「黒色にした」サンディングシーラーを吹いたと推測できるからです。
*木地状態の上から初めにシーラーを塗布したかは知らん・・・

次のページで完成までこぎつけましょう!

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