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前ページでインレイ作業をご紹介しましたが、ちょっと新鮮な技法、表現方法を使った作品が出来上がったのでご紹介。
*インレイアートの巨匠ラリーロビンソンのビデオ(24〜25年前)で紹介してたが、昔からあった技法です。

完成画像はコチラ

この砂↓↓かれこれ20年くらい前に東急ハンズで購入した砂(おそらくジオラマ用?)。何度か使ってみようかな〜って場面があったんですが、今まで一度も使う事がなかった。

  

北海道の「豊かな大地」をどんな素材で表現しようかと迷っていたところ思いついた。最初は貝とおなじく、少し盛りあがるように埋めて、あとからサンドペーパーで研磨して平坦に仕上げようと思った。

ところが試してみたところ硬くて全くサンドペーパーで削る事が出来ない!やっぱり「砂」(って事は鉱物?もとは岩?)だからか。
という事で、別に平坦に仕上がらなくてもいいじゃないか、となり素材の質感を生かし「大地」を表現してみた。

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砂を敷き詰めて、なおかつ表面から出っ張らないよう注意し、1滴1滴・・・・エポキシをそっと垂らしていく・・・数秒後ジュワ〜と染みこんでいく。時々勢い余って砂をくっつけてしまったりエポキシがはみ出ると「ムキー!」となるがそこは心を落ち着かせ一歩一歩。
もちろん表面から盛り上がってしまってもいいのですが、そうなると後々のペーパーがけが一切できなくなる。

 


 

さあ、お次は黒の染料を↓↓このようにロゴの周りに塗っていきます。

 

プラモデル用?の極細綿棒を使うとこのような細かい作業はやりやすい。嫁さんの実家が町田なんだが、近くの16号沿いにホビーショップ タムタム相模原店ってのがあるんですよね〜。一度入ったら数時間は出て来られないほど面白い・・・・

  

 

あたかも他の人が写真を撮っているように、うまく左腕を避けて写すのもコツがいります。

間違う時もあります。そんな時はスクレイパー/カッター刃でそっとカリカリすると消せます。

  

全ての準備が整い、塗装工程にはいります。

 


 

サンディングシーラーを吹き終えたところです→このギターはポリ塗装

 

よ〜く観察して凸凹や不自然な段差などがないか確認します。このあとは着色。

  

 

サランラップ、じゃなくエアブラシで使う透明マスキングでロゴと模様部分をマスキングします。

  

←デザインナイフで慎重にカット・・・・・

 

よ〜〜く↓↓見てもらうと分かると思いますが、すこし"大きめ"にカットしてます。

 

ロゴ&模様をマスキングしたら黒色で着色します。ヘッド表面以外をマスキングするのも忘れずに。

あくまで私の場合ですが、黒色を吹いたあと「約15〜20分後」にマスキングを剥がします。あまり長く乾燥させると剥がす時に塗料のバリ/ささくれのようなものが出来やすくなり最悪の場合、マスキング以外のところも剥がしたりしてしまいます。

  

 

表面の着色完了

 

今の段階だとあたかも「マスキングしました」的な見え方ですが、これからトップコートを吹いていくと殆ど分からなくなります。

  

 

その他のマスキングも剥がします→

 

一晩乾燥させたら・・・・・

 

バインディング部分は↓↓こんな感じでスクレイピング
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お次はヘッド裏側からネックへかけての着色作業
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裏側の色合いは「濃いブラウン(茶色)」にしました。オリジナルの色合いが既に濃いブラウンなのでそれよりもう少し濃い目で仕上げています。木目が透けて見えるか見えないかぐらいの濃さです。
*当初はつぶし色にしようかと思っていましたが、ヒビ割れ痕がほとんど目立たない事から完全な「つぶし」ではなくわずかなシースルーに。

  

 

マスキングした部分や、バインディングで掻いた部分などはやはり段差ができます。そこで、後の水研ぎ作業の事を考え、トップコートを吹き重ねていく途中でいちど水研ぎして平坦にしておきます。そうすると後がラクに。

 

今回はポリ塗装なので乾燥期間はそれほど長くする必要はない。ラッカー塗装の場合は少なくとも2週間は乾燥・放置。
勿論、夏場と冬場によっても違う。基本、気温が高ければ早く乾燥・硬化するし、低ければ遅い。

  

 

乾燥後、水研ぎ作業です。

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使う番手はリペアマン、塗装工によって様々だと思いますが、私の場合は#1200→#1500。ブツブツ↑↑が完全に無くなるまで行う。

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さて、部分塗装をした時のデメリットとして「境目」問題がある。
下の画像をご覧いただきたい。新・旧の塗装面の境目↓↓が分かると思います。これはどうしても出来てしまうものなので仕方がありませんが、ラッカー塗装のほうが(ラッカーの上にラッカー)新・旧塗料が癒着しあうので(溶けて融合する)、ポリ塗装よりは目立ちません。また、明るい色より濃い色のほうがより境目は目立ちやすくなります。

←コチラが完成後の様子。まあほとんど分かりませんが・・・

 

バフィングもおこない、最後のパーツ組み込み作業。

  

ナット取り付け部分のマスキングを剥がす時は↑↑注意しましょう。

  

 


 

完成

今回、バインディング部分のヒビ割れはなにもせずそのままで仕上げました。
塗装段階で「このバインディングの色」に合わせて調合した塗料を吹いてみましたが、ボカシてもやはりその部分だけ分かってしまうので何も処置しないほうが良いと判断したからです。

  

元の状態

 

ご覧いただきありがとうございました!
本年もよろしくお願い申し上げます。

 


 

 

昨年、ちょうどこの記事を書いている時、長年使っていた椅子を新調しました。20年くらい使ったかな〜・・・・

で、平社員仕様からいきなり社長仕様です。

たまに昼寝している時がありますが、そんときは叩き起こしてください。

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