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指板製作です。
このギターのスケールが(実際のスケールが)「632mm」というのは1ページ目でご説明したとおり。
*検索するとJohnnySmithモデルは25"(635mm)スケールのようです。

木材は経年変化で縮んだり・変化したりするものですが、↑約3.0mmも変化したとは考えにくい。仮にそのような事があったとしても、指板エンドかナット部分で(ネック材と指板材)ズレが生じるはずだが、このギターはそういった事はなかった。
まさかネック材ごと同じくらい縮んだ??そんな事あるだろうか・・・・?ま、深く考えても分からないものは分からないので先へ進みます。

*いまふと気づいたが、過去に指板交換をされている??という可能性はあるかもしれない。2ページ目で紹介したとおりフレットの溝がネック材にまで及んでいたのも気になるし。

 

JohnnySmithモデル、このギターは「20F」仕様ですが、新しく製作する指板はオーナー様とのご相談のうえ「21F仕様/628mmスケール」にしました。金額的な事情もありますが、628mmのGibsonスケールエボニー指板でしたら、あらかじめフレット溝が切ってあるものをストックしています。ただし21Fまで溝が切ってあるので、それを使用した場合は必然的に20F→21Fと1フレット増える事になります。
*フルアコなのでスケールが多少変わってもブリッジ側は自由に動かせますから問題ありません。

←画像はすでにピッタリの寸法へ加工した状態の新しい指板

もし635mm(公式?のスケール)か、632mm(このギターに付いていた指板)のスケールにするなら、溝切りしていないエボニー材を使用して、全フレット溝をカットしていかなくてはなりません。このような規格外のスケールだと溝切り用テンプレートも無いのでさらに大変です。

 

まずは寸法をチェック。オリジナルの指板からバインディングを計測→

 

ノギスで計測したところ、下記↓のような寸法で製作していきます。

普通の1〜2本だけのバインディングと違い、C,D,Eと複雑な構成ですよね。

 

バインディングの構成が分かったところで、まずはエボニー指板材をコンマ0.1mmの精度でカット&成形します。

  

ネック材の「幅・寸法」、元々の指板の「幅・寸法」、両方を正確に測りバインディング材の厚みも逆算したりして指板寸法を決めます。

 

ここで注意しなければいけないのは、下図のように、指板の端っこはネックの丸みへの延長線なのでこんなふうになっている。勿論、楽器によって「この部分」の成形・形はいろいろある。意図的に「鋭角」になっているものもあれば、ネックを握った時にまる〜〜く「ああ、なんて握りやすいんだ」と思えるものまで。

 

正確な線を罫書いたら糸ノコでカットします↓↓ カットしたらベルトサンダーで目的の寸法まで成形します。
  
*バンドソーを使うと刃が粗いので指板裏側が欠けてしまう。

 

バインディングの厚みをマイナスした寸法で、正確に成形した新しい指板

 

 

最初はA&Bを作ります。接着します。

  

 

時々登場するコイツ↓

  

アルコールでしっかりと油脂を拭き取り、マスキングテープを貼っておきます。厚手のやつも1枚ね。

上の画像で底上げプレートって書いてあるやつが見えますが、1.0mmは厚すぎなので使ってません。マスキングですこし浮かして接着するのは、バインディングの端っこって↓けっこうギザギザしているから。


まあ、今回のケースだとこれからさらにC,D,Eを貼り覆い隠されるから底上げ無しでピッタリ接着しても問題ないと言えば問題ない。

 

こんなふうにして接着作業をしてます。

 

白を・・・・・・
→→

黒を・・・・・・
→→


 

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次に指板エンドだが、↓↓その前にオリジナルをよく確認して「斜め」に接合されている。同じように接合・接着しましょう。

  

当て木とクランプで固定↑カットする時にバインディングが剥がれないように。 

 

ノミを使い・・・・→

もう片側も→

←エンド側に接着するやつも斜めにカット

 

エンド側は寸法がピッタリ合うように何度かノミでカット・調整して貼り付けます。
  

 


 

続いてC,D,Eの製作&接着

 

以前にもご紹介した↓↓方法でD&Eを接着。

  

 

次にCを接着します↓↓                     そして完成したCDEの組合せバインディング↓↓

  

 

すぐに接着したいところですが、その前に。。。。。

←とりあえず指板裏面に対してわずかに出っぱっているバインディング(A&B)をサンドペーパーで平坦にします。

 


オリジナルをよく観察するとフレット溝はA&Bのバインディング↑↑まで切れています。

 

という事で新しい指板も同じようにします。
  

 

こんな感じ↓

 

さあ、どんどんいきます。CDE組合せの接着ですが↓エンドから。はみ出したところは面一になるように削ります↓↓

→→

オリジナルをよく観察→この部分は斜めカットではないですね
(元の指板が本当にオリジナルかどうか、少し疑いがありますが・・・)

 

接着前の準備です。接着する面をペーパーがけしてキズを付けます。CDEバインディングのほうは↓それぞれが均一になるように。

  

  

 

フレット溝のホコリ、木くずなどしっかりと綺麗にしておきます。

  

 

最後にコレがけっこう重要。実際に打つ予定のフレットを溝にはめてみましょう。多少力をいれて食い込ませるぐらい。

もしこの段階で「きつくてなかなか入らない」とかあれば、フレット溝の幅を微調整するなどしておきます。
CDEのバインディングを貼ってしまうとノコが使えなくなりますから今のうちにね・・・。

「え?そんなんで きつい・ゆるいが分かるの?」
20年以上、年間何十本とやってると分かるんです。身体が覚えてるんですね。エボニーとローズ、メイプル指板ではまた固さが違いますし、フレット交換という作業は本当に何度やってても毎回毎回勉強です。

 

接着!↓↓                           出っ張りはノミで大まかに削っておく↓↓
  


ナット側も綺麗に面一に。

 

サイドポジションマークも忘れずに。    かなり大きめのマークです。

 

おつかれさまです、これでネック材に新しい指板を接着できます!

あれ?ポジションマークは?
まだ入れません。指板を接着して最後に指板修正を行いますが、その段階でポジマークをいれます。

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