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>>>2021年 元旦 謹賀新年<<<
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は久々のアコギのネックリセット・・・・ではなく、リセットもするけど目的は「トップ板の製作・交換」です。
モノは
YAMAHAのFG-280
まずはいつものどおり状態を見ていきましょう!
ボディの表裏。遠目に見るとなんらおかしなところは無いように・・・・このあと驚愕の事実が!
ヘッドの表面はこんな感じ
指板はオーナーさんが削ったため削れています。
この後レントゲンでジョイント構造を確認するため、14~16フレットを抜いたところ、約0.6~0.7mm削られている。
ブリッジもご覧のとおりペッタペタ・・・・
ブリッジもピックガードも一度剥がして再接着されています。理由はあとで・・・
さてさて、↓↓この状態を見て「!?」と思いました?
そうなんです。
なな、な、な〜んと、トップ板をご自身で極限まで薄く削ってしまったそうです。
因みに、トップ板は3層の合板構造で、上から2層までを削り取り、一番下の「層」だけが残っている状態。
かつてここまでのモノは見た事がありません。驚きのあまりしばらく言葉が出ないほどでした。
ご本人いわくトップ板を薄くすればサウンドが良くなるという単純な思いから作業したと言われていましたが、ちょっとやりすぎてしまいましたね・・・・しばらく時間をおき、あらためて冷静に考えてみると。。。。。
この均一さ!よくぞここまで綺麗に上の2層だけを削り取ったものだと。作業を考えるととてつもなく大変だったと思いますよ、コレ。正直、お金を払うから誰かにやってくれと言われても絶対にやりたくない。裏をかえせばオーナーさんの忍耐力、素晴らしいと思います。
ちなみに厚さは約0.8mm。あとで分かった事だが全体では約0.5mm!
内部のブレイシングなどはとくにいじった様子もなく、いたって正常。
先ほどの画像で、ボディ内部にランプを入れて灯りが透けて見える様をご紹介したが、これを見て思い出した。もうかれこれ15~16年前になるが、ブリードラヴギターの仕事に関わっていた時、当時お世話になったJ.Hさんの伝で、サンフランシスコとオレゴン州にあるブリードラヴ工場へ仕事で訪れた。
サンフランシスコではアコースティックギター製作家として有名な、というかもう伝説的なアーヴィン・ソモジ氏の工房にお邪魔した事がある。そこで拝見したギターはトップがかなり薄く、逆に、ブレイシングの背の高さが異様に高かったのを覚えている。
使われている接着剤がなんなのか調べるため欠片を→
欠片を一晩水に浸けてチェックしたところ↓↓ 触ってみても何もヌルヌルしないし固いまま、匂いもせず、ニカワではない。
→→
さあ、気を取り直して、トップ板の交換にむけ頭の中のCPUをフル回転させながら事前のチェック。
今回の場合、弦を張れない事はないが、張ってもボディが異様に盛り上がってしまい(そりゃそうだ)弦高などを測ろうにも不可能だ。
という事で、↑↑このように12F上に約1.5mmの板きれを置き(弦高1.5mmという意味)、ステンレス定規をあてがって↑↑ブリッジ位置でどのくらいの高さになるか計測。結果は約9.5mmだったが、おそらくというかほぼ99%こんな数値はあてにならないだろう・・・・
*幸いにしてネックは真っ直ぐなので助かった。
仮に上記の数値が正しいとして、計算でこのギターがどのような状態だったかを予測すると・・・・・
まずトップ板は1/3ほどまで薄く削られている、仮に2.5mm削られたとすれば「9.5 - 2.5」なので 約7.5mmだ。ブリッジからサドルが出ている「飛び出し寸法」を2.0mm弱は欲しいと考えると、ブリッジ厚は「5.5mm」となる。
飛び出し寸が1.0mmとかかなりギリだったとすればブリッジ厚は約6.5mmだろうか。まあ、参考(にならないが)までにメモしておこう。
お次はスケールの確認。オーナーさんが一度ブリッジを剥がして再接着したとはいえ、ブリッジピン穴は同じ位置のはず。つまりオリジナルと全く同じ位置にブリッジは接着されているはず。
ステュMacの治具で計測してみると1弦側はOK。6弦側はすこし後ろすぎる。勿論、弦高が3.0mmとか高く、弦も太ければ、それだけサドル位置は後方へ位置させないとオクターブは合わないので、一概にここがブリッジサドル位置ですとは言えない。
経験上、1弦側はスケールラインから約1.5mm、6弦側は約5.0mm後方だろうか。
あとはブリッジサドル溝がブリッジの端とかなり近づいているので、強度的にすこし不安が残る。ここも余裕が出るように新しいブリッジを製作しよう。
おなじみのレントゲン。べつにレントゲン装置を所有しているわけではない・・・・・
んなたいそうなモノ、資格も許可も無い一個人が所有などできません。
因みに、ネックジョイント部の構造がどのようになっているのか確認するために、今まで何度となくレントゲンのお世話になってきましたが、下準備はだいぶ手慣れてきた。
フレットは金属なので上画像のように白く写る。そうなるとネックブロックなどの陰影を確認しづらくなるので、あらかじめ14~16Fは抜いておいたほうがよい。ただし、抜きっぱなしではどこが14F、15Fなのか分からなくなるので、配線材などをフレット溝両端へ少しだけ差し込んでおく。ちょうど15F直下に空間が空いているのを見てとれますね。ここへブスッ!とスチームを・・・・
ペグも外します。3弦だけ違うペグが付いてます→
続いてフレット抜き・・・・
オールドなどで見かける事が多いが↓↓フレット脚にあるクサビ型の突起が付いていません。このようなフレットの場合、このように何かで叩いて凹み?キズ?を付け、それを「抜け防止」のクサビ代わりにしています。
2ページ目ではネック外し作業だから、ボディに載っている(接着されている)指板部分もラバーヒーターを使い剥がしておきましょう。
ポジションマークは熱の影響で溶けました。どちらにせよ交換するつもりだったので問題無し。樹脂製のポジマークは熱の影響を受けやすいので、本物の貝素材のほうがこういう作業には強い。
←ジョイント境目の塗装はカッターで切り込みを入れておく
すでに外れかけていたヒールキャップも外してしまおう。
さあ、下準備は整った。久々のコーヒータイムだ!
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