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さあ、ネックの角度はバッチリになりました。が、現状ではダヴテイルの接着面部分は隙間だらけで、このままじゃ接着できません。

どのくらいの隙間があるのか調べるために以下のような方法をとります。

まずマスキングテープを↓↓この部分に貼り・・・         ロウソクを塗り塗り・・・↓↓
  

おなじく↓↓ネック側もマスキングして塗り塗り・・・       そして木工パテを盛り盛り・・・↓↓
  

ムギュ!


このまま木工パテが完全に固化するまで数時間おきます

 

 

ネックジョイントを外す治具を使い↓↓ パコッと外すと

  

ハイ、ご覧のとおり内部にどの程度の隙間があるのか分かりました。

 

実際にノギスで計測すると、なんと偶然にも左右で同じ数値。上部・下部で違いますが0.4〜0.9mmです。
マスキングテープの厚さ0.1mm(×2枚)のぶんも忘れずに。

  

 

 

ではそれに従ってシムを製作。スプルース材で作ります。

これも経験からなのですが、メイプルやローズなど硬い材は使いません。理由は硬いと柔軟性が無いから。今回のケースでは、ネックブロックはスプルース材で出来ています。ネックはマホガニー材、なのでマホかスプルースを使いましょう。一般的なアコギだとネックブロックはマホガニー材の事が多いのでシムもマホガニーが良いでしょうね。
若い頃、まだ駆け出しの頃は、こういったシムは硬ければ硬いほど良いのだと思っていた。。。。

 

ダヴテイルのシムを接着するための当木

 

 

英語でDovetailと検索するとこんな画像が出ますが、ギターの場合角度が付くのでやっかいですよね。

 


 

シムは若干厚めに製作していますので、このままではネックをセットできません。
マーチンのネックリセット記事などでご紹介しているとおり、私は昔からこの手法をとっています。チョーク方式↓↓

  

ボディ側に↑↑チョークを付けます  

ネックをギュッと差し込み↓↓                  外してみると白いチョークが付着↓↓  

チョークが付着した部分をペーパーで少し削っては再びセット、外しては削ってセット・・・・・の繰り返し。

→→
繰り返すうちに徐々に↑↑ここの隙間が狭まってきます。

 

最終的にクランプで(の力で)ギュッと押し込んだ時に完全に隙間が無くなればOK。
勿論、接着面のチョークがまんべんなく全体に付いている事も大事。

 


 

ここまで来ればあとはラクです。

ボディ&ネックともに#240→#360とペーパーがけします。

  

  

 

 

綺麗さっぱりになったらいよいよネックジョイントの接着です。

余分な接着剤がはみ出してきてもいいようにマスキングテープを貼ります。
  

ネック側・ボディ側、双方に接着剤を塗布し合体。
  

 

クランプのかけ方はこのように。

  

濡れタオルで接着剤を拭き取ったらマスキングテープを剥がします。

 

*MARTINの場合、ネックとボディを接合する前に、それぞれ別々に塗装をして、塗装完成後にネックジョイントは接着されます。

 


 

休憩!

 

YouTubeの登録者数が1000人を超えた、という話しを前にしたが、広告収入を得るにはさらにもう一つ条件があり
過去12ヶ月間の総再生時間が4000時間以上、というハードルがあります。

別に広告収入を得たいから動画を作成しているわけではなく、そもそもの発端は、自身のサイト・ホームページ
つまりいま皆さんが観ているこのような修理記事ページに画像だけでなく「動画」も載せたいと思ったから。

おかげさまで当サイトへの訪問者数も増え、YouTubeの登録者数も1000名を超えたのだから、もう少しなにか違うスタイルで
動画を制作・配信する事ができないものかと、気持ちが芽生え・・・・


サムネイル画像もちゃんとそれらしく作りましたよ〜
今までは面倒で動画のなかの一コマにしていた。

動画で喋る事はなかったのですが、ついに喋りました(笑) う〜ん、お客さんに向かって話すのと、カメラに向かって話すのでは
ずいぶん違いますね・・・・よく言われる「そのー、あのー、えーと」は言わないように努力はしたんですが、難しい。。。

この「修理どうでしょう」コーナー?では、私が25年以上にわたりこの仕事を続けてきて、これは!?と思った事や、修理に関する様々なケース、面白かったネタなどを話していきたいと思っています。皆様ぜひご視聴ください。

因みに「修理どうでしょう」動画のための、質問やリクエストも受け付けています→→コチラ
*通常の楽器修理に関するご相談や問合せは今までどおりメールにてお願いします。

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCEV76W0B8ppz6uaut1e4Pkw


 

すこし前後するが、ポジションマークは(ボディに載る部分の)指板剥がしの際に熱の影響で溶けたので新しく入れ直します。

  
ここはオリジナルどおり樹脂製のポジションマークを。

 

ここまできて最後に100%の精度を出すため仕上げの指板修正。フレット打ち。

フレットは擦り合わせはせず、フレット端の「角の丸め処理」だけしておきます。
* 棒ヤスリでの丸め作業だけ。ペーパーでの仕上げはまだしません。これも人それぞれ。自分のやりやすい順番を構築しましょう。

 

 

ヘッド表面はオーナー様の了解を得て、YAMAHAのマークは消し、全体をペーパーがけして綺麗に。
  

 

3弦のペグだけ違うものが付いていましたが「いっそこの際に6個全て換えたらどうですか?」と提案したのだが、そこは何かこだわりがあるらしく、このままでいいと言うのでオリジナルペグのネジ穴は埋めておきました。
  

←木工パテで埋めたあと、ブラウンで着色すると目立たなくなる。

 

 

どんどんいきましょう。次は正確なブリッジ位置の決定。
  

 

前ページで説明しましたが、今一度センター線を書きます。スケールラインや実際のサドル位置を記してブリッジ位置を決定します。
  

下図のようにブリッジ位置決めの際はこの角度にも気をつけましょう。

たまに製品でも見かけるが、ブリッジが斜めに傾斜して接着されている、っていうケースは見かけます。

 

 

正確な位置が確定したらクランプで仮固定して、1&6弦のブリッジピン穴を開けてしまいます↓↓
  
ドキドキしますよね(笑) もう後戻りはできない。

 

ここでクランプを通常のものに換えてしっかりとブリッジを仮固定します。
そして1&6弦を張り・・・・・

 

適当なナットをセットして、弦溝の高さを調整。ネックが真っ直ぐになっているか確認のうえ弦高を測ってみると↓↓

  

この状態で弦高は1.4〜1.5mm。おそらく6本全ての弦を張りチューニング〜完成時にはあと0.3〜0.4mmは上がるだろう。

この段階で目的とする弦高が「低め」を要望されているのなら、それを見越してブリッジ厚を必要なだけ薄くしておく事で、ベストなブリッジサドルの飛び出し寸法に設定できますよね。今回、オーナー様のご要望は「弦高かなり低めで」との事なのでブリッジ厚は微調整しました。

さあここでようやくブリッジサドル溝掘りです

あとは接着を待つばかり・・・・

 

マスキングテープを貼ります。ブリッジを固定したらボールペンでブリッジ形を書く。力は入れずそっとね

 

ペンで書いた線より少し内側にカッターで切れ込みをいれてマスキングテープを剥がします。材まで切れ込みを入れないよう注意。
→→

この時に注意ですが、一気に剥がそうとせず、下記のようにそ〜っと押さえつけるようにして剥がす。

経験すれば分かるんですけど、スプルース材って、マスキングテープ程度の粘着力でもささくれる時があります。

 

 

 

よし!あとは指板をマスキングしてボディ内部に新聞紙つっこんで、塗装準備完了!!

あ、全体をアルコールで脱脂します。

 

う、嬉しい・・・次のページで最後にできそうだ。

 

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